秋の気配を感じる
【24日目◆12年10月2日(火)◆晴れ◆Bercianos del Real Camino➔Mansilla de las Mulas◆26.8km/累計448.8km】
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▼夜明け前の巡礼路。一本道なので迷う心配もなく気楽に歩ける。
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遠くから聞こえるニワトリの鳴き声に送られて出発。あたりはまだ夜が支配している。今日の満月は少し笠をかぶっていた。
前方の地平線にうっすらと明るい部分が見える。かなり遠い。大きな都市の明かりのようにも見える。
ひょっとしたらあれは、大都会レオンの明かりかもしれない。ここから47km先だから、明かりが見えても不思議ではない。
レオン到着は明日の予定。そして明後日は休み。3度目の休養日だ。それを楽しみに今日もひたすら歩こう。
少しずつ夜の気配が消えていく巡礼路。わたしのほかにだれも歩いていない。このあたりは迷うことのない一本道なので気が楽だ。
朝日が昇りはじめたころ、高速道路の高架をくぐった。そして、人気のない静まりかえった村を通り抜けると、見渡す限り何もなく、広大な畑地だけが続く。
夜はすっかり明け、茶色い畑地のかたなの地平線に、うっすらと山の連なりが見える。なんだか日本を思いだす。ここまで山のない景色が続いていたからだろうな。
▼空に浮かぶのは、すじ雲かうろこ雲か。いずれにせよ夏の雲ではない。季節は秋だ。地平線にうっすらと見える山並みが、なぜだか日本を思いださせる。
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▼この並木も、5年、10年たつうちに堂々たる大木になるのだろう。そのころまた歩いてみたいものだ。今度は春がいい。
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10時30分、巡礼路脇の休憩所で小休止。休んでいた一団が出発したあとに黒っぽい上着がある。忘れ物だ。追いかけて渡す。小太りのおばさんが恐縮していた。
休憩を終えてわたしも出発。おっと、忘れ物はないか、指さし点検。リュックを背負って歩きだす前に、休んだ場所を一度振りかえって点検するクセをつけるのが、忘れ物防止のコツだ。
それだけやっても、忘れるときには忘れる。
杖を忘れて歩きだしたのは2度や3度じゃきかないし、困ったもんだ。
ま、のんびり行こう。忘れ物防止にはそれがいちばんだし、気持ちがはやりすぎるとろくなことはない。ゆっくりが最上の策だ。
このあたりは片側並木の道路。歩きやすい。木陰が落ちているのがアクセントになり、単調な道もリズムよく歩ける。
順調に歩き、お昼はレリゴエス村のバルで。建物の壁一面に落書きとも思える絵や文字が描かれたバルだ。思わず立ち止まるほど目立つので、ほとんどの巡礼者は寄っていくだろう。店に入ると中の壁も文字や絵で埋めつくされていた。
▼これだけ目立てば、だれしもちょっと寄ってみたくなるような落書きバル。
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▼店内の壁も細かな文字がぎっしり。なかなかいい感じで、アイデア賞もののバルだった。
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バルでお昼を食べたあと、1時間ほど歩いてマンシージャ・デ・ラス・ムラスに到着。今日の宿泊地だ。町の中心のポソ広場には市が立っていたが、買い物はあとだ。まずは泊まるところ。
▼ポソ広場の市。あとで来てみたら、市は終わっており、広場は閑散としていた。残念。
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▼13世紀建立のサンタ・マリア教会。
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今日はアルベルゲでもいいか、と思って歩いていたら、オスタルの看板が目に入った。入り口のドアはカギがかかっている。同じ建物の1階がバルなので入って聞くと、案の定、受付はそこだった。
一泊20ユーロ。料金をはらったが、しばらく待てと言う。30分ほど待たされイライラしていると、オーナーらしきおばさんがやってきて、2階の部屋に案内してくれた。行ってみると、まだ掃除が終わっていない。シーツを交換中。またまた、廊下でしばらく待ち、ようやく部屋に入る。
非常に簡素。床も壁も天井も真っ白で、病室みたいだ。シングルベッド1台。シャワー、トイレ共同。オスタルの看板を掲げていたが、ペンシオンだった。夜中は寒そうだ.。予備の毛布もないし、厚着して寝るしかないな。
▼白一色の部屋。これでベッドカバーが白系統だったら完全に病室だけど……。
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3時半から1時間ほど町を散策。天気はいいのに気分がのらない。町の中心部を歩いただけで終わりにする。けっこう疲れているようだ。
▼黄色く色づきはじめた木やススキなどが目につくようになった。
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▼教会のようだが、古さを感じさせない。入ってみると、内部も現代的で、明るかった。最近、建てられたものなのだろう。わたしとしては歴史を感じさせる重厚な造りの教会が好みだな。
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▼オスタルの看板発見。Wi-Fiも使えるみたいだが、後の祭りというやつだ。気温28度。
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▼城門のてっぺんに生えている草も枯れている。静かな秋の午後だった。
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本日の就寝は8時33分。念のために持ってきたユニクロのももひきをはいて寝る。あったかい。これはヒートテックタイツなんていってるらしいが、なに、昔から日本にあるももひきだ。荷物が重量オーバーだったので、悩んだすえに持ってきたが、よかった。
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