風が強いなあ
【20日目◆12年9月28日(金)◆曇り・風が強い◆Castrojeriz➔Fromista◆24.7km/累計353km】
夜中の3時過ぎ、寒くて目が覚め、かけ布団を一枚出してかける。ついでにトイレ。いつもなら目が冴えてしまうのだが、すぐに眠ったようで、6時のアラームで起床。寒いとベッドの中が気持ちよく、ぐっすり眠れるのだろうか。
出発の準備が整って部屋を出る。6時47分だ。
1階に降りてきたら、おばあさんが朝食の用意をして待っていた。朝早くからいいのに。悪いなあ。恐縮しつつ、テーブルにつく。
と、おばあさん、何やら言いながら指を3本。???
「3ユーロ?」とわたし。「シー」と彼女。
ガックリ。お金を取るのかよ。聞いてないぜ。でも、断るわけにはいかない。もう用意ができている。食べるしかない。
▼出発するつもりで1階に降りると、朝食が用意されていた。サービスだと恐縮したら、3ユーロだった。
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「アディオス」と別れを告げてドアを開ける。外はまだ暗い。おばあさんは「ブエン・カミーノ」と見送ってくれる。こんなことはなかなかない。ひとりで暗い道に出ていくのが普通だから。
1時間ほど歩いたところで、間違った道に行ってしまった。分かれ道に立っていた案内標識をチラッと見て右折したのが原因だ。
その道は、歩くほどに細くなり、どうもおかしい。振りかえって分かれ道のあたりを見ていると、小さな明りが揺れながら、こちらには曲がらずにまっすぐ行く。仲間はあっちに行っている。
結局、カミーノの標識は分かれ道の数メートル先にあった。日本だと標識は分岐の手前にあるのが普通だから、早とちりしてしまったのがミスの原因だ。
▼歩いている人のマークを見て巡礼路と思いこんだのが失敗。よく見ればCaminoの文字はどこにもない。
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夜が明けきったころ、道は小石がごろごろした上り坂になった。やがてモストラレスの丘に到着。8時14分。ここまでずっとどんよりした曇り空で、風が強かった。丘の頂上はさらに風が吹き荒れていたが、休んでいくことにする。
▼モストラレスの丘から振り返ると、カストロヘリスの特徴的な山と村の家並が見える。
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8時23分出発。モストラレスの丘の頂上は平坦だった。平らな頂上を数分歩くと斜度18パーセントの下り坂。そこから見渡すと、茶色い大地がどこまでも広がっている。その中を細い巡礼路がうねうねと続く。
▼今日もまた歩くしかないなあ。それにしてもいつまでこんな景色が続くんだろう。スペインは広い。
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▼1時間歩くと橋。ここが県境になるらしい。といっても、この旅で県を意識したことはまったくないが。
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▼なんだ、これは。今は空き家のようだが、以前はバルだったのかも。
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▼珍しく巡礼路にトラクターの姿が。9月も終わりの季節に、どんな農作業があるのだろうか。
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▼今日の昼食は畑に積み上げられた麦わらの陰。強い風をさえぎってくれるのでいくらかしのぎやすい。
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お昼の休憩を終え、出発したらすぐに小川沿いの道になった。農業用水だろうが、これほど水量豊かな用水路は初めてだ。
いや、待てよ、これはガイドブックに書いてあった運河じゃないのか?
▼農業用水路にしては水量が多いし、運河というには幅が狭いよなあ、と思いつつ歩く。
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▼やはり運河だった。40分ほど歩くと立派な水門がある。カスティージャ運河。
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カスティージャ運河にかけられた橋を渡り、ほんの2、3分歩くと、今日の目的地フロミスタを示す標識があった。
今日はガイドブックで紹介されているホテルに泊まるつもりだから気が楽だ。当てもなくホテルをさがすのとは全然違う。町に入ってから2、3度聞いただけですぐにわかった。
ところが、ホテルは満室。まさか、こんな田舎の町で!
安心しきっていたところでの落とし穴。これはこたえる。
が、ここでまた逆転。なんとホテルの隣が公営のアルベルゲだったのだ。風が強くて寒い町をうろつかずにすむ。ここに決めた。朝食込みで9・5ユーロ。
今日は一日中曇りで、風が強く寒かった。こんな日、外に出たくはないが、日課になっているので町を散策。しかし、歩いていてもまったく楽しくない。適当に切りあげ、アルベルゲの数軒先のバルがWi-Fi OKだったので、パソコンを持ち込んで時間を過ごした。
▼この店はバル兼レストランだった。落ち着いた雰囲気で居心地がいい。夕食もここで食べた。
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夜は早々とベッドに入った。寝る前にトイレ、と思ったが、使われていたのであとでと思っているうちに、つい寝てしまったのがまずかった。宵のうちに尿意で目が覚め、それから夜中まで眠れなかった。
寛解5年が過ぎたら何をして暮らそうか。やりたいことをやるというのは当然だが……。やりたいことって……?
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