▲馬で巡礼なんてかっこよすぎ! できればわたしもやってみたいが……。
HOME 聖地巡礼 はじめに 第1部=1日目~25日目  第2部=26日目~47日目
26日目 27日目 28日目 29日目 30日目 31日目  32日目 33日目 34日目 35日目  36日目
37日目 38日目 39日目 40日目 41日目 42日目 43日目   44日目  45日目 46日~47日目 

馬と抜きつ抜かれつ 
【29日目12年10月7日(日)曇りのち快晴Astorga➔Rabanal del Camino20.7km/累計538.4km】

 7時16分。準備ばっちり。食事もした。ウンチも出た。これからアルベルゲを出る。
 夜明けごろに雨音を聞いたが、ありがたいことに雨は降っていなく、降る気配もない。通り雨だったようだ。
 ありがたいといえば、トイレット・ペーパーがぎりぎりで足りた。アブナイ。最近は確認もしないで用を足してしまう。慣れは禁物。初心忘るべからず。

▼ひと晩お世話になったアルベルゲを出発。階段が濡れているが、通り雨のようだ。

 空は雲が多い。太陽はおがめそうにないが、寒くはない。今日も歩くのみだ。
 アストルガの町を抜け、田舎道を粛々と歩く。時計を見ると9時20分。ようやく2時間歩いたか。けっこうバテたな。今日は出発のときから体が重かった。

 なんとなく意気が上がらない。そのとき、背後からカツカツと変な音が聞こえてくる。振り返ってびっくり仰天。なんと馬じゃないか。この旅初めての馬の巡礼者。3頭が列をなして追い抜いていった。

▼巡礼の手段として馬があることは知っていたが、実際にやる人がいるとは思いもしなかった。

 この日は3頭の馬軍団と抜きつ抜かれつの一日だった。歩くのは馬のほうが速い。だが、休憩時間は人間より長いようで、馬が休んでいる間に追いつく。その繰り返しだ。

▼カメラを向けたらわざわざ止まってポーズをつけてくれた。デカイ馬だ。形もいい。

 9時34分、サンタ・カタリナ・デ・ソモサ村の入り口に着く。木立の間の道を歩いて村に入り、休まずに村を通り抜ける。何もない村だ。

▼サンタ・カタリナ・デ・ソモサの村に入っていく巡礼者。彼らのような軽いリュックで歩きたい。

 このあたりは風景が日本のそれによく似ている。緑の木々が点在し、遠くに山が連なって見える。今まではすべてが茶色だっただけに、変化が感じられる。

▼風景が少し変化したように思う。左の道は舗装、右は砂利道と2本の道が平行して走っている。

▼道端で休んでいたら、レオンで再会した韓国の女性が追い抜いていった。

▼休憩を終え、歩きだしてすぐに立派な十字架に遭遇。巡礼中にこの場所で亡くなったのだろうか。合掌。

▼10時47分、エル・ガンソの村が見えてきた。前を行く2人の身軽さがうらやましい。

▼バル「COWBOY」の前で馬軍団が休んでいた。

▼右の若い男性はビール片手に満足そう。これまたうらやましい。

▼エル・ガンソ村の出口に建つ十字架。旅の安全を祈ってくれるのだろう。

 エル・ガンソを通過したのが10時58分。今日の目的地ラバナル・デル・カミーノまであと7kmだから、遅くとも1時には着くだろう。ここまでくれば気が楽だ。

 今歩いているあたりの景色は、日本でもよく見かけるような感じがする。どうも遠くに山並が見えるという風景が、そんな印象を与えるようだ。

▼平野が終わり、山が近くなってきたのを感じる。日本にもありそうな風景だ。

▼林の中で馬軍団が休んでいた。夜はどこに泊まるのだろうか。

 林道を抜け、2車線の舗装道路をしばらく歩くと、木立の向こうに教会の鐘楼が見える。どうやらラバナル・デル・カミーノに着いたようだ。やれやれ。

 村に入る道路わきに看板があり、そこにはなんと日本語が書かれていた。が、意味不明。「危険は働く」というのだから。

▼危険は働く……1行上のDANGER WARKSの直訳みたいだが、工事中危険ということかな。

 珍しい看板を見たな、と思いつつ村に入ると、今度は馬を発見。馬軍団の黒3頭とは違い褐色の鹿毛だ。バルのそばの立木につながれていた。これまた巡礼馬だろう。

▼鞍をつけているところをみると、持ち主はバルでビールでもひっかけているのか。

 立て続けに巡礼馬に会うなんて珍しいこともあるもんだ、と感心している間に公営のアルベルゲに着いた。目と鼻の先には私営のアルベルゲもある。ちょっと迷ったが、私営は混みあっていそうだったので公営のほうにした。12時54分、受付完了。

▼公営のアルベルゲ。質素な造りの建物で、1・2階合わせてベッド数34。4ユーロだった。

▼ここはなんとベッドが一段だった。アルベルゲでは初体験。

 ルーチンワークのシャワー・洗濯を終え、庭の物干し場に洗ったものを干す。午後から雲ひとつない快晴。ふりそそぐ日差しを受け、風に揺れる洗濯物を見ると、なぜか幸せな気持ちになる。この5年ほど主夫業をやっているせいもあるし、もともときれい好きなのだ。

 さて、今日の仕事はこれにて終わり。お昼ご飯にしよう。隣の私営アルベルゲのバルにでも行ってみるか。

▼2時をかなり回っているのにバルはけっこう混んでいた。

▼ミックスサラダが大盛りで大満足。トルティージャとパンまで平らげたら、おなかパンパン状態に。

 昼食を終えて腹ごなしの散歩。人口が50人ほどの小さな村とガイドブックにあったが、確かに30分ほどでひとまわりできた。

▼昼下がりの村は人通りもなく、ひっそりと静まり返っていた。昼寝の時間だ。

▼3時半を回ったころ、雲が少し出てきた。快晴の空もいいが、これもまたいい。

▼このあたりの標高は1100メートルを超えているらしい。高原の村という感じがするなあ。

▼太陽が沈み、家々の明かりが灯るころは、ひとりでいるのがちょっと寂しくなる時間帯だ。

 小さな村に夜のとばりが下りていく。西の空はまだ少し明るいが、すぐに光は失われるだろう。そんな時刻に村を見下ろす高台にたたずんでいると、里心というか、郷愁というか、今は旅の空なんだな、と強く思う。

 歩く土地土地は目に新しく、時に楽しく、時に苦しく、時間が過ぎる。日が明け、日が暮れ、眠りがくる。それらがどうも、かりそめのもののように思えるのが、今のような夕暮れ時だ。

 こうやって気持ちのいい風を受け、暮れゆく村を眺めたり、風にそよぐ葉音を聞いたりしていて、それはそれですばらしいのだけれども、なぜか地に足がついていない感じがする。
 かりそめの時を過ごしているという感覚も、そこから生じている。

 旅の空というのは、いったいにそういうものなんだろうか。
 暗くなった道をアルベルゲへ戻る。今日もコオロギが鳴いている。


つづく     ページTOPへ   HOMEへ

     ◆聖地巡礼:カミーノ・デ・サンティアゴ