▲アストルガの町にほど近いサント・トリビオの丘に建つ十字架と巡礼路。
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初めて飲んだホットチョコレート 
【28日目12年10月6日(土)曇りVillar de Mazarife➔Astorga27.8km/累計517.7km】

 朝食6時半。トーストした食パンとカフェオレ、ジュースの定番。果物は自由。さっとすませ、6時48分にアルベルゲ出発。

 寝不足の頭痛あり。ベッドの場所どりのミスで眠れなかった。選んだベッドの両側にトイレがあり、人の出入りがうるさいのだ。あとでそれに気づいたが、手遅れ。すでに空ベッドがなくなり、チェンジできなかった。

 休養明けで元気いっぱいの昨日とは打って変わり、前を行く若者の後についてボーッと歩く。今日はいつもより約8kmも多い27.8Kmの長丁場だ。歩きたくないなあ、と思いつつ、ハッと気づいたら、三叉路なのに矢印も確認せず、若者の後をついて無意識に曲がっていた。

 歩くほどに不安がつのる。はたして彼を信用してもいいのか。引き返して自分の目で確認すべきでは……。こんなときに限って矢印・標識がまったくない。
 引き返す決断もつかず、惰性で歩くこと30分。あった! 黄色い矢印。心底ホッとする。

 8時53分、ビジャバンテ村を通過。このあたりは黄色く枯れかかったトウモロコシ畑が広がっている。これまでとはおもむきの違う風景だ。
 木々が多く、遠くに林が見え、また山影がうっすらと見えたりしている。見通しが悪く、沖縄のサトウキビ畑のような印象を与える。

▼珍しくカボチャ畑があった。奥はトウモロコシ畑。

▼単線の線路が畑の中を一直線に伸びていた。
 ほどなく、跨線橋で線路を渡る。さっき一両編成の緑色の電車が走っていった。電車を見るのは久しぶり。なんだか文明を感じる。少し大げさか。

 10時10分、分かれ道で小休止。どちらに行くか迷う。標識もないし、こうなれば奥の手だ。

 しばらく休んで、やってきた巡礼者の後をついていく。
 すぐにビジャダンゴス・デル・パラモ村のオルビゴ橋があり、どっちの道を通ろうが、この橋で川を渡るしかないことがわかる。なんだ、悩むことはなかったじゃないか。

 ガイドブックにはオルビゴ橋の逸話が紹介されていたはずだが、取り出して読むのもおっくうで、長い橋を歩いていく。やっぱり疲れる。いつもより8km近く余計に歩くのは、考えるだけでイヤになる。

▼川が流れているのは橋の一部分。ほとんどは河川敷のような広い土地の上を橋が通っている。

▼巡礼路脇のベンチでひと休み。おばさんからパン一個とチーズ一切れをもらった。疲れているとき親切にされると、ありがたさが身にしみる。食べたあとは少し元気が出た。

 12時48分、ようやく十字架の丘にたどり着いた。ここで昼食を兼ねて大休止。眼下に今日の目的地アストルガの町が広がっている。目測5、6kmといったところか。ここから先は下りだし、1時間もあれば到着するな。

▼サント・トリビオの十字架。目的地アストルガの町はもうすぐだ。

 1時19分出発。休んだおかげで元気回復。それに目的地が見えているのも心強く、ジャスト1時間後の2時19分、アストルガの町を示す看板を通過。
 泊まるのはガイドブックに紹介されている、大聖堂近くのアルベルゲにしようと決めていた。町に入ってすぐに公営アルベルゲもあるが、それは横目で見て、先に進む。

 大聖堂は15分ほど歩いてすぐに見つかった。ところが、近くにあるはずのアルベルゲがわからない。通りがかりの人に聞いても首をかしげるばかり。

▼左がアストルガの大聖堂。右はガウディ設計の司教館。

 とある店で聞くと、人のよさそうなおじさんが、ちょっと待てと言って、店の奥から町の地図を持ってきた。今はここで、アルベルゲはここ。だから、こう行けばいいんだよ。親切に教えてくれ、地図まで持っていけと言う。

 感謝感激なんだが、ひとつ困ったことが。おじさんの説明の途中で気づいたのだが、彼が教えようとしているアルベルゲは、先ほど横目で見て通りすぎた公営アルベルゲなのだ。
 とはいえ、それは知っている、教えてほしいのは別のアルベルゲ、と言うのもなんだか悪い気がし、結局、グラシアス! グラシアス! と、地図をもらって店を出た。
 こうなれば戻るしかないな。どうやら、あそこに泊まるサダメだったんだ。

▼公営のアルベルゲ。一度は通りすぎたものの、結局、ここに泊まることになった。一泊5ユーロ。

▼アルベルゲの中庭は休憩スペースと物干し場になっている。建物は古いが設備はよかった。

 夕方、町をぶらつく。市庁舎前のプラザから立派なライオン像のある噴水広場を抜け、目抜き通りを歩いていく。

▼正面が市庁舎。プラザを囲むように飲食店があり、テラスは大勢の人でにぎわっている。

▼立派なライオン像のある噴水広場。ライオンのいわれを記した銘板を訳すのは面倒なのでパス。

▼子連れの巡礼者。いろんな人がいろんなやり方で歩いている。

 行きつく先はやはりカテドラル広場だ。
 絵葉書を買い、それを書きながら、司教館の前にあるチョコレートカフェのオープンテラスで、遅めのティータイムを楽しむ。頼んだのは名物のホットチョコレートとクロワッサン。アストルガはチョコレート発祥の地といわれ、チョコレート博物館まである。

▼疲れをとるにはホットチョコレート。とはいうものの、飲むのはこれが初めてだ。

 あとで知ったのだが、ホットチョコ+クロワッサンは邪道で、ホットチョコにはチュロスというのが王道なのだそうだ。白状すれば、チュロスというものはいまだ食べたことがない。 

 絵葉書を書き、ポストに投函。帰りは裏通りを選び、アストルガの別の一面を観察しながら、市庁舎前の広場に戻ってきた。アルベルゲはそこから3、4分だが、ちょうどいい頃合いだし、夕食を食べていくことにした。

▼MENU DEL PEREGRINO(巡礼者のメニュー)を頼み、一品目はエンサラダ・ミクスタをチョイス。

▼二品目はチキンステーキのポテト添えにした。ボリュームがある。

▼三品目はデザートのヨーグルト。以上三品の巡礼者メニューは10.3ユーロ。

 ごちそうさん。
 夜のにぎわいはこれからだろうが、さて、帰ろう。
 早寝・早起きが巡礼旅の鉄則だ。


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      ◆聖地巡礼:カミーノ・デ・サンティアゴ