▲ベルシアノス・デル・レアル・カミーノ村のアルベルゲが開くのを待つ巡礼者。
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二度も道に迷う
【23日目12年10月1日(月)快晴・あたたかいMoratinos➔Bercianos del Real Camino20km/累計422km】

 起床6時。7時10分出発。朝はけっこう寒い。
 今日から月が変わって10月。巡礼旅も後半に入った。大きなトラブルもなく順調、と安心していた矢先、出発してわずか数百メートルで道を間違えてしまった。しかも、昨日、巡礼路の確認をしたのにだ。

 アルベルゲを出て、昨日確認した巡礼路の入り口へ。直進の矢印を見ながら進む。昨日確認したときは、そこから先はまっすぐな道なので引き返したのだが、今朝歩いてみると200メートルぐらい先で二股分岐にぶつかった。

 分岐している2本の道幅はほぼ同じ。こんな場合、普通なら標識がある。しかしそこには、いくら見まわしてもそれらしいものがない。
 ここまで歩いてきた自然の流れでは、なんとなく右の道のほうに行きたくなる。だが、幅が同じぐらいだから、左の道でもおかしくない。

 どう判断すべきか? 引き返す? いや、標識がないときは、自然な流れのほうに行くべし。なぜなら、だれもが自然にその道を選んでしまうので、標識はいらない。だから立っていない。これまでもその判断でOKだったことが多い。
 えい、行ってしまえ!

 しかし、今回は失敗だった。20分歩き30分歩き、どうもおかしい。暗くてまわりが見えないが、これは完全な農道だ。トラクターのわだちがあるだけで、人の歩いた形跡がない。しばし熟考。そして、リターン決定。

 出発地点に戻り、再スタート。アルベルゲから歩いてきて最初の直進矢印はOKだったが、そこからほんの1分ほど歩いたところに右に行く矢印と脇道があり、それを見落として直進してしまった。これが間違いのもと。

 考えてみたら、そのときはきれいな満月に目をとられ、写真を撮っておこうと、歩きながら空
▼なんの変哲もないこんな月の写真を撮るために標識を見落とすなんて、まだまだ修行が足りないなあ。
を見上げていた。ほんの1分前の矢印で、道はまっすぐだと思いこんでしまったから、脇道があっても気にもしなかった。一寸先は闇だよ! 

 結果的には1時間遅れの出発となってしまい、遅れを取り戻すべく、せっせと歩いていた9時半過ぎ、悪いことは重なるもので、またもや道に迷った。最大の原因は、前を行く人のあとを盲目的についていったことだが、不可抗力かも。

 先行する巡礼者がいる場合、わたしはだいたい後をついていくことにしている。ほとんどの人がわたしより詳細な地図を持っているからだ。

 今日も数人が縦一列になって歩いていた。やがて道は県道にぶつかり、列の先頭の若者2人が地図を見て、県道を横断し、直進する。みんなもその後に続く。が、道はだんだん細くなり、1km近く歩いて、みんながおかしいと思いはじめたころ、高速道路の橋げたにぶつかった。

 わたしの簡単な地図でも、巡礼路は高速道路を右に見て、その脇を進むようになっている。が、今の道は左側に川が流れており、橋がないので、高速道路をくぐって直進するしかない。明らかに道が違う。あーだ、こーだと話し合ったが、結局、元の県道まで引き返すほかに方法はなかった。

▼高速道路沿いに左折して歩ければいいのだが、幅数メートルの川があって渡れない。みんがUターンして戻っていっても、先頭を歩いていた2人はなんとか川を渡れないか、地図と首っ引き。引き返すのがイヤなわたしは待ってみたが、やっぱり戻るしかないというのが結論だった。

 引き返し、舗装された県道を歩いてすぐの橋を渡ると、大きくて詳しい標識があった。巡礼路は引き返してきた道と川をはさんだ形になっている。川沿いに歩くのは間違った道と同じだが、高速にぶつかる手前で左にカーブしていた。

 またしてもスペインの標識にやられたという感じ。まずは県道手前の標識がまぎらわしい。どう見ても、左折して県道を歩くのではなく、直進しろという標識だ。

 そのうえ、次の詳細な標識は、間違えて直進したら絶対目に触れない場所にある。どうせ立てるなら、県道に交わるこの地点にしておけば、まったく問題ないのに。
 結論。これは不可抗力というものだ。

▼悔しいので県道の手前に戻って確認したら、こんな標識だった。これでは左折して舗装された県道を行く人はいないだろう。県道を横断した先(並木の右側)に、これまで歩いてきたのと同じような砂利道があるから、みんなそっちに行きそうだ。ちなみに写真の人は、正しい方向に歩いていった。なぜ? 標識を信用せずに地図を信用した、ということだろうな。

 2つの失敗で意気消沈し、足取り重く歩き続け、12時52分、目的地のベルシアノス・デル・レアル・カミーノ村に入る。道に迷ったので1時間半はロスしているはずだが、それにしては早い到着だ。

 最初に目に入ったカサ(CASA)を素通りすると、すぐにオスタル(HOSTAL)がある。もう少し行ってみよう。何もないなあと思っているうちに、アルベルゲに着いてしまった。雰囲気のあるいいアルベルゲだが、今日は泊まる気がしない。しかたがない、最初のカサに戻ろう。

▼満艦飾の洗濯物がいかにもアルベルゲらしい。古色蒼然としたいい感じの建物だ。

 カサで昼食。ハムのボカディージョ、桃のジュース2本。食べながらカサに泊まりたいんだけど、と聞いてみると、泊まるならオスタルがあそこ、アルベルゲにはこう行けばいい、と主人が言う。
 つまり、この店の看板のCASAは宿泊施設の意味ではなく、屋号の一部みたいなもので、日本でいう○○屋といったもののようだ。

 結局、カサのすぐそばのオスタルに泊まることにした。バル&レストラン兼用で、店に入っていくと、カウンターにいた不愛想な娘が何か言うがよくわからない。ノートに名前を書けということらしい。宿帳だ。これまでオスタルで宿帳なんか書いたこともない。初めてだったのでとまどっていると、彼女はプイと向こうに行ってしまった。感じわるー。

▼泊まったのは右の建物の2階。下がバル&レストランなので便利はいい。店員の態度は最低だったが。

 居合わせた男性がパスポートを見て書いてくれた。親切な客だと思っていたが、彼も店の関係者のようだ。ひょっとしたら経営者なのかもしれない。

 お決まりのシャワー・洗濯を終え、村の散策。その前にバルでカフェオレを飲んだが、居心地
▼右は火の見やぐらのようだ(消防署に隣接しているので)。左の鉄塔はよくわからない。てっぺんにあるのは見慣れたコウノトリの巣だ。
が悪い。こちらが、いけすかない女、と思っていると、相手もそう思うのだろ。とにかくつっけんどんで愛想がない。

 ハエのうるさい村だった。道端に、羊の糞がコロコロしている。そんな村にはハエが多い。

 歩いていると、相変わらず左のわき腹が痛む。最近は右と左、交互に杖を手にしているのだが、痛みは治まらず、午後になると出てくる。

 それに、毎朝の定期便がない。便意を催すのが午後の4時ごろになってしまった。
 その時間は、だいたい散歩の途中だから始末が悪い。なんとか朝型に戻そうぜ。

 村をひと巡りして、今日こそ準備万端整えた。オスタルから巡礼路の入り口まで完全にチェック。入り口の石柱標識も確認し、その先も少し見てきた。明日こそ迷わずに行きたい。

▼荷物を積む一輪車を連結した自転車。へえ、こんなのもあるんだ。初めて見た。

 オスタルに戻る。明日の準備を終え、早めに晩飯を食っちまおう。支払いもすませ、あの無愛想な娘と縁を切りたい。
 部屋から下のバルに降りたら、夕食は8時からだと言われる。あと1時間もあるぜ。

 夕食はエンサラダ・ミクスタ=5・5ユーロ、ミート・セレクション=6・5ユーロ。宿泊料と合わせて40ユーロ。ま、妥当なところか。
 満足。脂肪が多目なのは気になるが、スペインだからなあ。
 最初のころと違い、最近は鷹揚になって食べたいものを食べる。それでも、運動量がこれまでとけた違いだから、むしろやせてきている。

 性悪娘に1ユーロのチップ。そのときだけはにっこり笑う。その機に乗じて、朝の7時に出発したいが、どこから出ればいいのか聞いてみる。店は8時開店だから、出入り口のカギは閉まっているはずだ。

 案の定、店の横にあるドアに案内して、ここから出ろと言う。カギはかかっているが、明日の朝はあけておいてくれるのだろう。チップが効いたとはいえ、案外、いい娘なのかしれないな。
 さて、寝るとしよう。

▼簡素な部屋だが寝るだけだからこれで十分。

 さんざんな一日だった。だが、天気はよかった。スペインの空がなぜ青いのか、理由がわかった。広大な空間に人の数が少ないからだ。行けども行けどもほとんどが無人の空間。これでは汚しようがない。よって空が青い。明日もそんな天気でありますように。


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     ◆聖地巡礼:カミーノ・デ・サンティアゴ