青 爺 残日録 脳梗塞よれよれ日記【016】
MRIで脳梗塞が見つかった
◆2017年04月03日(月) 発症26日目
 頭部のMRI撮影のため、予約していたT病院へ行く。

 体の調子はよくない。
 2日前には、突然、左手指先にしびれを覚えた。ひどくはないが、それ以来、しびれをずーっと感じている。いつ触ってもしびれている。とても不快だ。

 3月9日の虚血発作時、手足の指先に強烈なしびれを感じた。でも、それはすぐになくなって元に戻った。なのに、なぜ、今ふたたびなのか?

 しばらくなかった頻脈も出た。昨日の早朝5時のこと。急に気分がおかしくなり、くるぞ、と身構えたら案の定、きた。

 心臓が急激に動悸を打ちはじめ、心拍計で見る脈は、たちまち120まで上がる。10秒ぐらいの短時間だと思う。そして、すぐに下がり始めた。

 PMTは理論的には起こらない――と医者が断言している。では、これはナニ?

 ま、調子はよくないが、MRIを撮るぶんにはなんの支障もない。
 午前11時40分、MRI撮影室前の長椅子で待っていると、別室に招き入れられ、撮影前の問診&着替え。問診はごく簡単なものですぐに終了。

 部屋の隅に設けられた着替え室で下着だけになり、術着のような前開きの服に着替える。出てくるとY医師がいた。ちょっとびっくり。今日はMRIを撮るだけだと思っていたのに、なぜ、わざわざ?

 「その後、どうですか?」
 と聞かれ、しびれと頻脈のことを話す。

 先生は「薬が切れるんだよね」と言いつつ、パソコンに向かった。処方してくれるようだ。入院していたK病院で処方され、なくなったらT病院でもらって、と言われていた脳梗塞予防の抗血小板薬だ。

 薬の継続依頼は、K病院の「診療情報提供書」に書いてあったみたいだ。同じ処方ということは、Y先生も同じ薬でいいと判断したのだろう。
(後刻、処方をもらう。抗血小板薬のバイアスピリン100mgは同じ。胃の保護薬は、プロマックD錠75mgに替わっていた)

 そのあとすぐ、ワゴンにプログラマー(ペースメーカー調整用の専用コンピューター)などを乗せ、臨床工学技士らしき女性2人、男性1人がやってくる。
 Y医師も入れると総勢4人。そして、MRI撮影のために、ペースメーカーのセッティングを始めた(*注1参照)。

 なんとものものしいことよ。チャチャッと終わると思っていたが、予想外に大変な作業のようだ。
 15分ぐらいかかっただろうか。前準備終了。撮影室に案内され撮影開始。

 ヘッドホンをつけられ、顔に野球のキャッチャーマスクのようなものをかぶせられ、ドラムに送り込まれる。
 あとは、ガンガン、ゴンゴン、ガガガッ、ピロロ、さまざまな騒音を聞かされ、過ぎゆく時に身を任せるのみだ(*注2参照)。

 途中、眠気で意識が遠くなり、ちょっとあわてた。30分ほどでつつがなく終了。またもや4人がかりでペースメーカー設定を元に戻し、完了だ。


 撮影完了後、Y先生が立ち話ながら概要を教えてくれた。それによると、

*梗塞跡が見つかった。詳しいことは次回11日の診察時に。
*脳梗塞予防のフォローは脳外科の先生と相談してから。
*原因はアテローム性だろう。心原性ではない。

 ウ~ム、なんというか、最後の最後にババを引いてしまった。間抜けなズッコケ状態もいいとこだ。どげんもなら~ん!

 一過性脳虚血発作が、脳梗塞にズドーンと暗転した。
 一過性でも脳梗塞予備軍として注意が必要なのに、あの発作が正真正銘の脳梗塞ならば、今度、発作に見舞われたら、半身不随になってもおかしくないじゃないか。

 テニスなんぞにうつつをぬかしてる場合じゃない。歩くのもままならず、車いす生活だって現実味を帯びてくるのだから。

 古希を前に、老後のあれやこれやの妄想が、頭の中を駆けめぐる。それを振り切り、まあまあとなだめすかし、落ちつけと諭す。

 今、騒いだところでどうにもならない。来週の詳しい検査結果を聞かなければ、本当のところはわからないのだから。

 ともあれ、脳梗塞に関しては、今の段階でやるべきことはすべてやった。来週、総合的な結論が出る。どうするか考えるのはそれからだよ。
                                【016・MRIで脳梗塞が見つかった 了】

◆参考データ
*注1 MRI検査をするには、ペースメーカーの設定を変更し、MRI検査時用モードへ切り替える。そして、検査が終わったあとは通常モードに戻し、正常に作動するかどうか確認する。こうした調整が必要になるため、前々回に書いたように、MRI検査に従事する医療者は、ペースメーカーに関する研修を受け、施設としても認定病院になる必要がある。
 また、ペースメーカーを使っている患者がMRI検査を受けるのにも、きびしい条件が定められている。つい数年前は、MRI検査は禁忌とされていたほどだ。
 その詳細については、わたしが植込んでいるセント・ジュード・メディカル社の検査マニュアルをあげておくので参照のこと。
*https://www.sjm.co.jp/jp/mri-pacemaker/medical/pdf/manual.pdf
*MRI検査を受けるには、ペースメーカー本体とリードが、MRI対応になっている必要がある。気になったのは、MRIでスキャンできない事例として「損傷したリード」があげられていること。
 留意事項で「損傷したリードが植え込まれている患者は、MRIスキャンの実施により健康被害を被る可能性があります」と注意喚起されている。
 問題なのは、通常、損傷リードはそのまま体内に「留置」され、新しいリードが「追加」されること。損傷リードが新リードと「交換」されることはほとんどない。
 これを知ったときはわたしもびっくりした。だが10年、15年と体内にとどまる間、リードがどうなるかというと、体の組織と癒着し(リードと血管壁またはリード同士の癒着)、抜去が不可能になる。むりやり引きはがせばどうなるか、容易に想像がつくだろう。だから「留置」と「追加」なのだ。
 これはわたしにとって、とても頭の痛い問題だ。ま、解決策がないではないが、手術適応になるかどうか、そのときにならないとわからない。今後の検討課題。

*注2 MRIを体験した人が異口同音に言うのは、とても耳ざわりな「騒音」のこと。ネットでその音をアップしている人がいた。心地よさの対極にある音だが、何事も経験ということで、メモしておく。
*https://www.youtube.com/watch?v=e3U-1ttLY8Y
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Contents
【001】アッ!ろれつが回らない
【002】梗塞とは細胞壊死のこと
【003】アテローム血栓性脳梗塞
【004】
ラクナ梗塞は15mm以下
【005】心原性脳塞栓症はコワイ
【006】
MRIは検査なしになった
【007】
脳梗塞の黒幕は動脈硬化
【008】退院できない眠れぬ夜は
【009】
アテローム血栓が原因?
【010】
医者の怒声が響いた面談
【011】心臓までおかしくなった
【012】
助けて!深夜の心臓異変
【013】
入院生活ともオサラバなり
【014】
MRI撮影ができない病院
【015】
ペースメーカーは異常なし
【016】
MRIで脳梗塞が見つかった
【017】頻脈の大波小波に翻弄!
【018】ラクナ梗塞という十字架
【019】


サイト運営の青爺より
68歳でペースメーカーを
植込んだ隠居じ~さんが、
69歳で脳梗塞の発作で倒れ、
どげんもなら~んと大パニック。
救急車で運ばれた先では
なんとも不可解な治療を受け、
良くなったのか悪くなったのか。
ホントにどげんもなら~ん!









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【004】ラクナ梗塞は15mm以下
【007】脳梗塞の黒幕は動脈硬化
【010】医者の怒声が響いた面談
【013】入院生活ともオサラバなり
【016】MRIで脳梗塞が見つかった
【002】梗塞とは細胞壊死のこと
【005】心原性脳塞栓症はコワイ
【008】退院できない眠れぬ夜は
【011】心臓までおかしくなった
【014】MRI撮影ができない病院
【017】頻脈の大波小波に翻弄!
【003】アテローム血栓性脳梗塞
【006】MRIは検査なしになった
【009】アテローム血栓が原因?
【012】助けて! 深夜の心臓異変
【015】ペースメーカーは異常なし
【018】ラクナ梗塞という十字架