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脳梗塞よれよれ日記【014】 |
MRI撮影は認定病院のみ | |
◆2017年03月25日(土) 発症17日目~27日(月)発症19日目 | |
17日間の入院が終わり、午前中に退院。 退院前、入院中の検査データのコピーを依頼した。この病院では診療情報の開示をしており、コピー代だけでデータをもらえる。 いちばんほしかったのは、造影CTの画像だ。あんなものはめったに拝めるものではない。CTで撮った全画像がCD1枚におさまり、コピー・材料代で500円なり。 ほかに心臓エコーと頸動脈エコーの検査結果、入院期間中に受けた診療内容のコピーも申し込んだ。 しかし、「これは医学用語が多くて素人には理解できませんよ、どうしても必要ですか」と言われ、理解できないんじゃあ、いいです、と断る。 データのコピーに時間をとられたが、11時過ぎには清算も終わり退院。 ああ、清々した。 だが、清々したのはほんの束の間だった。 あろうことか、夜11時10分ごろ、入院中に感じたPMT(ペースメーカー起因性頻脈)の自覚があり、あわてて心拍計を見ると、数値が100前後を行ったり来たりしているではないか。 退院して久しぶりにのんびり過ごしていた夜だから、気分は本当にリラックスした安静状態。なのになぜ、激しい運動をしたかのように、脈が突然上がるの? あのペースメーカー調整は、いったいなんだったんだ? 怒・怒・怒! あとから考えてみれば、これが不調の始まり。 翌26日、朝ご飯の最中、8時27分ごろ、軽いPMT発作。心拍計は90超ぐらい。 さらに27日、同じく食事中の午前8時6分ごろ、昨日同様のPMTの自覚あり。心拍計は90超ぐらい。軽い印象。 昨日、今日と、食事中におかしくなる。何か関連があるのか? 印象としては軽い頻脈だが、3日も連続すると、不安がいや増す。 疑問と不安が交錯し、こうなったら専門家に聞くしかない。 K病院は退院したし、かかわりたくもなかったので、ペースメーカー調整時に立ち会ってくれたSJM社のS氏に連絡する。 わたしが植込んだペースメーカーの製造会社の技術者なので、なまじの医者よりは詳しいはずだ。 午後遅くなってS氏に連絡がつき、症状を話したところ、突発的な頻脈で、PMTではないと思うが、念のため、なるべく早くペースメーカー手術をしたT病院で診てもらったほうがいいとのこと。 T病院の診療時間はとっくに過ぎていたが、救急外来に電話。幸いにも対応してくれた看護師が主治医のY先生と連絡をつけてくれ、明日12時に救急外来で受診できることになった。今晩を乗り切れば、なんとかなるだろう。 不安な一夜になりそうだが、がんばるしかないな。
話は変わるが、SJM社へのこの電話で、技術者担当のS氏から、びっくり仰天の情報がもたらされた。 PMTの件が一段落し、雑談の中で、「入院していたK病院では、ペースメーカーのせいでMRIを撮れなかった、せっかくMRI対応の最新型にしたのに、意味がなかったですよ」と冗談ぽく苦言を呈したら、 「弊社のペースメーカーを植込んでいて、MRIを撮影できる病院の一覧がネット公開されているので、一度、確認してみてください」 と言われた。「セントジュード MRI」で検索できるという。 で、検索してみた。 すると、なんということだ、SJM社の公式HPに「MRI検査施設一覧」があり、全国の病院が都道府県別にリストアップされているじゃあないか(*注1参照)。 その一覧で、入院していた「K病院」をさがしてみた。 ない? もう一度、ていねいにさがす。でも、ない……! K病院はSJM社の認定病院になっていない! だったら、SJM社のペースメーカーを植込んだわたしには、MRI検査なんか、はなからできないじゃないか! なんなんだこれは? わけがわからず、SJM社の公式HPをすみからすみまで検索してわかったのは、わたしがまったく知らなかった以下のような驚くべき事実だった。 1)リード植込み手術から「6週間はMRI検査が禁忌」であること 2)SJM社のMRI対応ペースメーカー植込み者が、MRI撮影を受けられるのは「S JM社が認定した病院」に限られること 3)病院がSJM社の認定を得るには、「MRI対応植込み型不整脈治療デバイス患者のMRI検査の施設基準」(*注2参照)に定められている、「関連学会が監修し製造販売会社などが開催する該当機器の適切で安全な使用法に関する所定の研修を修了していること」が必要であること つまり、SJM社のMRI対応ペースメーカーを植込んでいるわたしに対し、MRI撮影をしようとしたら、まず、リード植込み手術後6週間たっていることの確認。 手術後6週間たっているかどうかは、「ペースメーカー手帳」を見ればすぐに確認できる。わたしは手術後9か月も過ぎているので問題なし(*注3参照) だが、もうひとつの条件である「施設基準」に定められた「所定の研修を修了」し、SJM社から「施設認定完了通知」を受けていること、これはどうか。 言うまでないことだが、これについては明白だ。K病院はSJM社の「認定病院」になっていない。 したがって、わたしがSJM社の「ペースメーカー手帳」を提示した時点で、MRIを撮れないことはわかったはずだ。 しかし、「認定病院になっていないので、MRI撮影はできない」ということは、ただの一度も説明されていない。 第006回のよれよれ日記にも書いたが、わたしがMRI検査について詳しく聞いたのは、M主任看護師からだ。 その概要は、 わたしが植込んでいるペースメーカーは、K病院では扱っておらず、登録しなければならないので、撮影するには2、3週間かかる。 その間、何かあったら大変なので時間がかかりすぎるMRI検査はやらず、CTで検査をし、予防治療をします――という話だった。 事情がわかった今、この言い方が実に巧妙なのがわかる。 つまり、登録病院になるためのステップを前出の資料で読んでみると、 まず、SJM社へ登録→所定の研修を受ける→研修終了→施設認定完了通知受領 →認定病院申請→認定病院として告示 という流れになる。だから、登録から始めれば時間がかかるのは当然だ。この「登録から始める」という部分だけは事実を告げている。ウソは言っていない。 しかし、そんなことより、最初に言うべきは、「当院はSJM社の認定病院ではないので、MRI撮影はできない」という結論部分だろう。 認定病院にならなければ撮影ができない。その事実をまったく告げず、何かあったら大変なので時間が必要なMRIはやらず、CTだけで検査をし、予防治療をします――という言い草は、わたしからすれば、乱暴な表現を承知のうえで、ペテン師の口上の典型だと断罪したい。 それにしてもなぜ、「あなたのペースメーカーはMRI検査の適応にならない」、と正直に言えないのだろうか?
17日間も入院した(同じ程度の症状で入院したほかの人たちは1週間から10日で退院。つまり、脳梗塞疑いの軽い症状で入院しても、2、3日では退院できず、かといって20日も入院できない医療実態があることがわかった)今なら、勘ぐれば、じつにイヤな想像もできるのだが、それは書かない。 M主任看護師は知識豊富で、誠実なベテラン看護師だと思っていた。説明もていねいだし、こちらの疑問にも真摯に答えてくれる。だが、その彼女が、患者にとって最重要の事実を隠し、17日の入院中、にこやかに接してくれていたのが信じられない。 MRI検査に触れたとたん、唐突に怒りだしたF医師の不可解な態度も、邪推かもしれないが、ひょっとしたらと思う。 疑心、暗鬼を生ず、とはこのことかもしれない。 しかし、ひと言、MRIは撮影できない、と、なぜ、言えなかったのか? 考えても妄想を生むだけ。今は、怒りをとおりこして、何を言うのもむなしい。 嗚呼、どげんもならん…… 【014・MRI撮影ができない病院 了】
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