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◆玄米のフィチン酸問題
玄米は白米に比べ、豊富なミネラルが含まれている。しかし、それが吸収されずに、体内を素通りして排出されてしまうとしたら、玄米を食べる意味がない。じつは、こうしたことが現実に起きているのだ。
原因は玄米に含まれるフィチン酸という物質。このフィチン酸が、玄米中のカルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウムといったミネラルと結びつき(キレート作用という)、大切なミネラルが水に溶けて失われないようにしている。つまり、玄米中のミネラルは、水に溶けにくい性質を持っているのだ。
一方、わたしたちの体が吸収できる食べ物は、水に溶けやすいもの、という条件がある。となれば、玄米のミネラルは体内に吸収されることなく、右から左に便として排出されてしまうわけだ。
水に溶けにくいのなら、ドロドロになるまで噛めばいいじゃないか――ということではないのだ。先のキレート作用は化学的な結合であり、いくら噛み砕いたからといって、フィチン酸とミネラルの結合がとけることはない。
ミネラルなどの栄養素がほしくてわざわざ玄米を食べるのに、肝心の栄養分は体内に取り込めずに素通り。なんとも悩ましいのがフィチン酸問題なのだ。 |