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‡2011年6月18日(土)
 
小学校の休日開放テニスコート。土曜・日曜は近所の50~70歳の面々が集まって、のんびりテニスを楽しんでいる。






 午前中は近所の小学校の休日開放コートでテニスの練習。久しぶりに目いっぱいやった。
 胃に「異型細胞」という「がんの芽」を抱えており、気分は鬱々としてさえないが、それ以上の鬱状態におちいらないためには、体を疲れさせるに限る。

 わたしの場合、ほんとうに落ち込むと、体を動かすのがイヤになり、冬眠している熊状態になる。精神的なひきこもりといってもいい。そうなると大変なので、自分に活をいれながらテニスにでかけた。

 予定が入っているので、イヤイヤでも出かける――これはとても重要なことだと思う。ひきこもらないための大きな要素だ。
 もしテニスの予定がなかったら、今日は家に閉じこもって、悶々と時間をすごしていただろう。そのあげく、無為にすごした一日を悔いて、さらに気分は落ちこみ、いっそうひどい鬱状態へとはまりこんでいく。

 そうならずに、なんとか踏みとどまれたのは、土曜日の午前中はテニスの練習――という予定が入っていたおかげだ。気分がさえなくても、外に出てみれば、それなりにいいことがある(こともある)。

 ともあれ、「がんの芽」を成長させず、今の段階でつみとってしまう対策を粛々と実行するしかない。
 寛解4年目は、思いもよらない厳しい幕開けになったもんだ。どこかに油断があったのかなあ……。

‡2011年6月22日(水)
 

 朝からいい天気になった。梅雨の合間の久しぶりの快晴。終日、ホームページ用のデータ整理。

 4月に行ったお遍路の日記をホームページ用に整理していて、『葉隠』の死ぬ覚悟について考えてしまった。

 「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」という『葉隠』の文章には、続きがあることは以前にも書いた。
 「毎朝毎夕、改めては死に改めては死に、常住死身になりて居る時は、武道に自由を得、一生落度なく、家職を仕課すべきなり」というものだ。わかりやすく記すと下記のようになる(奈良本辰也・駒敏郎訳)。
 「毎朝毎夕、心を正し ては、死を思い死を決し、いつも死に身になっているときは、武士道とわが身は一つになり、一生失敗を犯すことなく職務を遂行することができるのだ」

 これは、(自分の思考の中で)死が当たり前のようになってしまえば、生涯をつつがなく生きぬくことができる、と語っているようにも思える。がんの告知以来、死を恐れて忌避してきたわたしだが、こんな一文を読むと、そこから一歩前に進むほうがいいような気がしてくるのだ。

 なんだか『葉隠』には、いろんな側面がありそうだ。それについて、松岡正剛氏の「千夜千冊」には、詳細な分析が語られている。長くなるが、非常に参考になるので引用しておきたい。

 ――常朝の多くの語りのなかで、「常住死身」(じょうじゅう・しにみ)という言葉ほど輝くものはない。これはいざというときに死んでみせるという覚悟ではなくて、その前提にあるのは、いつだって死んでいる覚悟が必要だという意味である。
 それゆえ例の「武士道というは死ぬ事と見付たり」の文章(語りだが)は、次のように結ばれる。「毎朝毎夕、改めては死々(しにしに)、常住死身に成りて居る時は、武道に自由を得、一生落度なく家職を仕課(しおお)すべきなり」。
 
 これはなんと一瞬一瞬の生死を亙るということで、ベルグソンの「純粋持続」さえ思わせる。しかし常朝はそういう哲学の合理などにはまったく関心がなく、ひたすらそのことが家職に従事するにあたって必然となるはずだと言ったのだった。
 武士というもの、いつも戦場にいるとはかぎらない。「虎口前」にも「公界」にも「畳上」にも武士はいる。それでなお武士でありつづけるとは、どういうことなのか。常朝は、このことを先駆する鈴木正三とともに考え切った。
 ここで浮上してくるのが「奉公」という概念である。奉公は、商家にとっては丁稚や番頭になることであるけれど、武士にとっては「公」に「奉る」ということだった。常朝のすばらしい言葉づかいでいうのなら、「奉り置きたる此の身」というものだ。この「置きたる」がいい。
 では、どう「置く」か。常住死身になっていく。これである。しかしながら、これは単に死を覚悟するというのではなくて、そんなことは当然で、むしろそこで「生死(しょうじ)を離るるべき事」に思いを致すことなのである。
 ここにおいて、「奉り置きたる此の身」と「忍ぶ恋」とが馬を蹴立てて近寄ってくる。「常住死身」と「生死を離るる」が急速に重なっていく。そして「長け高き心」というものになっていく。

 もう一カ所、どうしても紹介しておきたいのは、「伊達する心にてなければ、時期はならずと也」とある箇所だ。これは現代語に訳せば、「意気がって恰好よく見せようというほどの心構えがなければ、どうして時や処や位にかなった振舞ができようものか」という意味である。「風体の元は時宜なり」とも言っている。
 伊達、なのである。時宜の伊達、なのだ。奉公とは、武士道とは、そして「忍ぶ恋」というものは、この伊達にこそ支えられていたのである――

 う~ん、参考になるなあ。武士道から伊達にいきつくとは。ものを論ずるとはこういうことか。

‡2011年6月29日(水)
 
◆近所の運動公園で、球出しマシンを使ってテニスの練習をするのが日課になった。ヒマさえあればここで体を動かしている。


 今日もいつもどおり。
 午前中はホームページの制作。お昼を食べてから、買い物・夕食の支度。2時から3時ぐらいには夕食の準備を終え、それから近所の運動公園で、球出しマシンでのテニス練習を2~3時間。
 クタクタに疲れて、風呂、夕食、そして9時には就寝。そうそう、午前5時30分起床での早朝気功も日課だった。
 こうした生活がリズムよく送れると、体の調子がいい。がんを抑えこんでいる実感がある。

 変わりばえのしない日常だが、それを、淡々とこなせるのは、じつは幸せなことなのだ思う。
 体の中でガンの芽が育ちつつある、という事実を知らされたとき、平凡な日常が突然に断ち切られた。そうなって初めて、人はいつもどおりのなんでもない生活が、いかに幸せなのかがわかるようだ。

‡2011年7月6日(水)
 球出しマシンのメンテナンスのため、月・火とテニス練習はお休み。今朝の体重測定では筋肉量が増え、基礎代謝も増えている。土・日の激しいテニスのあと、月・火の休みをとったことがいい結果を招いていると思う。マシンがあったら、月曜だけ休んで、火曜日は無理して練習をしていただろう。結果、疲労が解消されずに、重だるい一日をすごすことになったはず。

 夏本番に向け、疲労をためないための休養の取り方を考えること。テニスの練習をやりたくないとき、それが怠惰な心のためか、それとも体の疲労のためかを見きわめ、体の疲れのときは休む――これを徹底すること。いまさらながら休養が大事だということを痛感した。

‡2011年7月9日(土)
 
 河口湖の温泉へ行く。中央高速の事故渋滞がなければ、自宅から1時間で着けたはずだ。
 湖畔のハーブ園で、用意してきた朝ごはん。桜の木陰で食べる朝食は格別だ。考えようによっては、別荘の庭で休日のブレックファーストてなもんだ。

 宿の部屋は3階だったが、河口湖を前景に富士山が正面に見える。絶景。温泉も同じ眺望。ともに景色は☆5つの満点だった。ただし、温泉は露天がないので総合評価は☆3つ。ともあれリフレッシュできた。


‡2011年7月16日(土)
 
 4月のお遍路、5月のルルド巡礼と、旅の記録をホームページにアップし、残すところ闘病記のまとめだけになった。今月中に終わらせること。そうすればホームページはひと段落だ。

 最近、「ベーシック・インカム」というおもしろい話を耳にした。
 ベーシック・インカム――基本所得保障とは、全国民に無条件で、たとえば毎月5万円を支給する、という社会保障のシステム。
 もしも、月に5万円で暮らせるなら、働かなくてもいいわけだ。毎日遊んで暮らせる。

 ま、5万円じゃ暮らしていけないだろうが、10万円の支給だったら?
 なんとかなりそう。4人家族なら月給40万円だもの。十分、生活できるだろう。
 1億2500万人×10万円×12か月=150兆円/年……か。こんな額の財源はどこにもないなあ。ベーシック・インカムは、やはり夢物語なのだろうか。

‡2011年7月20日(水)
 夜中の3時すぎに目が覚めたら、もう眠れない。昨日はテニスの練習を休んだので、疲れがとれたのだろう。いつものことだ。起きだしてホームページの制作。
 ただ、こんなに早い起床だと、やはり一日の後半がこたえる。午後は蒸し暑く、頭に霞がかかって、能率があがらない。体もだるい。

‡2011年7月30日(土)
  ◆サプリメントの摂取には注意が必要。
 ネット情報には以下のような事例があった。
ビタミンAをとりすぎると
 ビタミンAを大量に(6,000μgRE)摂取した場合、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などの中毒症状(過剰症)をおこすことがあります。
 ビタミン剤を使用する場合、決められた量を守って服用していれば過剰症の心配はほとんどありませんが、動物のレバーのようにビタミンAを多く含む食品を同時にとる場合には注意が必要です。
妊婦・発育期の子どもへの影響
 アメリカの研究では、妊婦が1日3,000μg以上のビタミンAを摂取した際に、胎児頭部の奇形の発生率が、1,500μg以下の場合に比べて5倍になったという報告が示されています。

 理想をいえば、サプリなんか摂らずに、食事から必要なビタミン類を摂取したいところだ。しかし、なかなかそうもいかない。いずれはそうしたいと思っているが、今は緊急時ということで、とにかくがんを治すことを最優先にしてやっている。



 口角炎が治らない。気づいたのが7月5日だった。25日たっても治らない。こんなに長いのは初めてだ。
 ネットで検索してみると、同病者のコメントがごまんと出てくる。対策としてはビタミンB2の摂取がいいみたい。

*口角炎初期の状態ではビタミンB2を。
  推奨量1.4mg →25mg 摂取中
*炎症がひどい場合はビタミンCを。
  推奨量100mg → 3000mg摂取中
*予防するときにはビタミンAを。
  推奨量2,000IU → 5,000IU摂取中

  サプリは異型細胞対策として服用中。口角炎に効果のあるビタミンは、今、飲んでいるサプリでいずれも大幅にクリアしている。とくにビタミンAは、一日摂取量の上限とされる量まで摂っている。ビタミン不足はありえないのだが……?

‡2011年8月2日(火)
 8月になって夏本番。暑いうえに、お隣の解体工事で、瓦などをトラックの荷台に放り投げる音がうるさい。
 お隣さんは、福島原発の放射能汚染がこわい、と沖縄に移住した。生まれたばかりのお子さんを含め、3人の子だくさんだから、親としては心配でしようがないのだろう。
 あっという間に決断し、即引越し。いちばん上のお子さんが小学校入学というタイミングもあったのだろうが、それにしても沖縄とは思いきったものだ。見ず知らずの土地だというから、その行動力にはおそれいる。

‡2011年8月5日(金)
 長女に女の子が誕生。お産が長引いて大変だったようだ。ともあれ、母子ともに無事でよかった。これでわたしも孫が3人。名実ともに立派なジイサンだ。

‡2011年8月18日(木)
 
「ガン病棟からの脱出」。プリントしておいたものを今読んでも参考になる。


 このところ、がん闘病記のホームページづくりにかかりっきりだ。今日はプリントしてあった「ガン病棟からの脱出」を久しぶりに再読。
 食道がんの告知を受けたばかりで、何をどうすればいいのかオロオロするばかりのわたしに、がんと闘うとはこういうことだと教えてくれたのが、オミノ氏が公開していたこのサイトだ。

 今、読んでも参考になる。リンクを張って多くの人に読んでもらおう。そう思ってネットでさがしたが、なぜかホームページが検索できない。いろいろ調べているうちに、2006年の更新を最後に放っておかれ、最近は削除されていることがわかった。どうやら、更新が中断した2006年ごろに、オミノ氏は亡くなったようだ。

 ショックだ。わたしがオミノ氏のホームページを読んだのが2007年の12月31日だから、そのとき、すでに亡くなっていた可能性がある。わたしと同じ食道がんに打ち勝ち、5年生存もはたしてぴんぴんしている大先輩、と思っていたのに、すでに亡くなっていたなんて、言葉も出ないほどのショックだ。

 詳しいことはわからない。突然更新が中断され、そのまま放っておかれたということのようだから、たぶん、がんの再発による死ではないと思う。いや、そう思いたい。
 オミノ氏の性格なら、再発だったらそれをきちんと報告し、経過を記すだろう。がんはそれだけの時間を与えてくれる病気でもある。それもなく突然の中断ということは、それができないほど、何か、突発的な事故によるものだと考えざるをえない。
 亡くなった、という確たる情報を得たわけではないが、ともあれ、ご冥福を祈る。合掌。本当にありがとうございました。

‡2011年8月23日(火)
 

 5時半だ。起きて気功に行かなくちゃ――と思うが、なかなか起きられない。もう少し寝て6時からにしようと思っているうちに、激しい雨が降りだした。
 3年前は雨でも出かけていたが、今は休養第一。雨は天からの恵みと思って休む。年をとったのかなあ。

‡2011年9月1日(木)
 8月が終わり、運命の9月1日だ。
 今日は、6月の定期検診で見つかった胃の異型細胞――がんの芽の経過観察のため、東病院で内視鏡検査を受ける日だ。

 検査の前に、胃の動きをおさえる水薬をコップ一杯飲む。あまりにまずすぎ、最近はこれを飲むと吐き気に襲われるようになった。
 看護師さんにフリスクペパーミントをなめてもいいか聞いてみたけど、あまりいい返事はかえってこない。飲み込むわけでもないのに、返事がかんばしくない。ダメなんだろうな。やめとこう。看護師さんを困らせてもしかたがない。我慢して飲みほす。

 検査室に入り、検査台に横になる。検査直前に先生と話をしていて、麻酔薬を通常の量に戻してもらうことにした(これまではオスピタン2分の1量、ナロキソンなし)。
 最近は検査後の貧血が起きていないし、貧血そのものも、麻酔薬のせいというよりは、低血糖が原因のような気がする。そんな話をしていたら、量を元に戻しますか、と聞かれた。
 「すぐにできるんですか?」
 「できます」
 「なら、やってください」

 そのせいで、気分はいい。麻酔薬がきいていると、ちょっと眠いような、ホワンとしたいい気分のまま内視鏡が終わる。
 終わってすぐ先生に聞いたら、「安心していいですよ」という返事をもらった。
 やった、バンザイ! 3か月の精進が実った。来週の診察で生検の結果が出る。それまでは無条件に喜べないとしても、目視で異常が見られないというのは、とにかく嬉しい。

 帰りに聖跡桜ヶ丘で遅い昼食。お祝いのステーキにした。筋があったけれど、噛みごたえ十分の肉らしい肉だった。霜降りのとろける肉よりも、噛めば噛むほど味の出るこうした肉のほうがわたしは好きだ。
 ともあれ、今日はオメデトウ!

‡2011年9月3日(土)
 
 台風襲来。夜中に目が覚め、眠れずにパソコンに向かう。明け方まで作業して、朝寝。今日は土曜日だが、どうせ台風でテニスはできない。

 終日、ホームページ制作。がんの告知から治療終了までの闘病記がようやく終了。とりあえず、ここまでをアップする。あとは寛解1年目、2年目、3年目をつくるだけ。早く終わらせないと、高野山にも行けない。

‡2011年9月9日(金)
 9時に家を出る。先週受けた内視鏡の結果が、正式に言いわたされる布施先生の診察。心配はしていないが……やはり心配だ。

 11時30分の予約が1時間遅れ、12時30分に診察室に呼び入れられる。モニターに映しだされたデータがプリントアウトされ、布施先生は「問題ありませんね」と言う。
 よかった、よかった。先生の口から聞くまでは、どうしても不安が消えない。

 
上部消化管の検査報告書
 渡された検査報告書には「前回指摘の前庭部小弯に明らかな陥凹性病変を認めない」と書いてある。不安の種がなくなった!
 ただし、それとは別に、体上部前壁に「発赤小隆起」(4mm大)があり、診断として「粘膜異常 隆起」とある。ドキッとするが、その部分からは検体を採取して細胞検査をし、悪性所見なしの結果が出ている。

 総合コメントは「食道癌CRT後CR継続と考えます」とあり、寛解状態を維持している。
 イヤイヤ、よかったなあ。無事に検査をパスしたぜ。ひと安心だ。

 帰りに新宿で昼食。診察後はステーキと決めていたが、ルミネのレストラン街をさがしてもおいしそうな店がない。たまたま見つけたラーメン「山頭火」にした。まずくはないが、感動するほどおいしくもない。やはり道楽のラーメンが日本一じゃないのかな。ここから15分歩けば食べられるのだが、そこまでして食べる気にはならない。

‡2011年9月18日(日)
 
 3時に目が覚める。前の日にテニスの練習をやってないと、だいたいこんな時間に目が覚めてしまう。起きだし、雑用。今日・明日は千葉の鴨川温泉へ。夏バテ解消といきたいね。

‡2011年9月21日(水)
 台風15号が直撃。午後から夕方にかけて大雨、大風。ひどいもんだ。なんだか気乗りがせず、午後はテレビをだらだら見てしまう。ホームページの制作がはかどらない。

‡2011年9月24日(土)
 母と姉夫婦が上京。長野の善光寺参りに行った帰り。みんなが集まるものの、酒が飲めないと宴もつまらない。がんになってから酒を断っているが、飲みたいと思うのはこんなときだ。

‡2011年9月26日(月)
 テニスの練習は休み。終日ホームページ制作。

 谷川俊太郎の言葉(朝日新聞より)
*ぼくは自分が役に立つとしたら、人間として、やっぱり美しい詩を書くことしかないと思っている。マイナスイメージの詩はできるだけ書きたくない。

 松本(美枝子・写真家)氏が「谷川さんは震災をどう書くのかなと思っていました」とたずねると「被災者じゃないから書けません」ときっぱり。震災を直接うたった作品は1作(「言葉」)だけと話していた。

 震災に関しては実に多くの著名人が発言している。だが、被災者じゃないから何も書けません、話せません、という人が、わたしは好きだ。

‡2011年10月8日(土)
 
 朝日新聞の夕刊に、『前立腺がん PSA検査 米政府「全年齢で勧めない」』という記事が出ていた。
 米政府の予防医学作業部会が「すべての年齢の男性に対して検査は勧められない」とする勧告案を7日にまとめたそうだ。2008年の勧告では75歳以上で検査を勧めていないが、今回は対象を全年齢に広げたことになる。

 理由は、大規模臨床試験の結果、年齢や人種、家族歴にかかわらず、PSA検査が死亡率を下げる証拠が見いだせなかったから。

 日本では意見が割れている。日本泌尿器科学会は「スウェーデンのグループが発表した研究ではPSA検査で死亡率が半減した」と、検査を推奨。
 一方、厚生労働省研究班は「死亡率減少の科学的根拠は不十分。過剰診断の恐れもある」と、集団検診は推奨できないとしている。

 どっちが正しい? 
 泌尿器科の医者はPSA検査がなくなれば収入減→泌尿器科学会は医者の団体→よって検査を推奨する……という構図か?
 あるいは、厚生労働省→PSA検査を推奨しない→検査をやる人が減る→医療費が削減できる……と考えてのことか。

 要は、PSA検査が有用か否か、白黒をはっきりつけられればいいのだが、そうもいかないところが現代医学の限界なんだろう。それにしてもどちらの意見に与すればいいのか、悩むところだ。

‡2011年10月12日(水)
 午後、O歯科で歯の掃除。歯周病がかなり進んでいる。いちばんひどい歯には排膿という診断が下る。初めてのことだ。なんとかしなくちゃいかんなあ。

‡2011年10月21日(金)
 近所のM眼科へ。遠視が3段階進んでいた。眼鏡を替えることにする。新調すると金額がかさむので、予備用の眼鏡のフレームを使い、レンズのみを交換することにした。それでも遠近レンズが2万3100円だ。年をとると体のケアにお金がかかる。

‡2011年10月22日(土)
 Hクリニックでインフルエンザの予防注射1回目。3週間後に2回目を打つ予定。もうそんな季節か……。

‡2011年11月1日(火)
 

 両ほっぺた内が痛む。舌で触ると両頬の内側がただれているようだ。歯周病対策のリステリンの影響だろう。口をすすぐときの刺激が強すぎると感じていた。しばらく休んで様子を見よう。

 ホームページの制作が終わり、時間がとれるようになったので投資の勉強を始めた。教科書は『超簡単 お金の運用術』(山崎元・経済評論家/朝日選書/2008年12月30日発行)だ。

 この本は発行時の2008年(3年前)に買って、一度読んでいる。本の帯には「もうオロオロジタバタしない 貯蓄も投資もこれひとつでOK!」とあり、超簡単というタイトルとあいまって、無精者のわたしはつい買ってしまったのだ。
 裏表紙の帯には「投資信託は? プライベートバンクは? 不動産投資は? 個人年金保険は? 外貨預金は? ……要りません」と書いてある。これも気に入った。面倒はことはキライだから。

 お金を運用して儲けたい→でも面倒くさいしよくわからない→そんなあなた、複雑な運用法はすべていりません→これひとつでOK――という儲け方を書いてあるのは、読んでみてよくわかった。

 方法はたしかに簡単だ。
 *当座の生活に必要なお金(生活費3か月分)を普通預金に置く。
 *残りのお金を全額ETF(上場型投資信託)に、国内株40、外国株
 60の比率で投資する。
  ◆ ただし、全額投資がコワイという人は、
*リスクを取ることに「気が進まない」お金は個人向け国債(一〇年満期タイプ)またはMRF(マネー・リザーブ・ファンド=元本保証のある対象に投資している信託)を購入する。
 という変則運用もあると著者はいう。

 では、ど素人のわたしにもできるこの投資を、3年前、この本を買ったときにやってみたとする。結果はどうなったか?
*TOPIX連動型上場投資信託を仮に100口購入した場合
 ・08年12月30日購入 100口=87,683円
 ・11年11月1日現在  100口=76,549円
 ・結果=1万1134円の損(-12・7%)
 
 ただし、3年間で以下の分配金があった。
 ・09年7月→1,880円
 ・10年7月→1,610円
 ・11年7月→2,070円  計5,560円
 
 ・損失金額
  87,683円-76,549円+5,560円=5,574円(-6.36%)

 ということで、6%強の目減りになってしまった。
 この損を外国ETFで回復できればいいのだが、この3年間、株価は全世界で安くなっており、結局、「超簡単、これだけで投資はOK」という方法も、世界的な株安の経済環境下では儲からないことがわかる。

 3年前に「これひとつでOK」という言葉を信用して投資を始めていたら、今ごろは後悔している。これが現実だ。
 もちろん、投資にはリスクがつきもの――の原則からすれば、これはなんら不思議ではない。結局、後悔したくないなら、投資はするなという平凡な結論に落ち着くことになる。

  ◆なかなかおもしろいことも言っているので、抜き書きしてみた。
*減らしたくない大きなお金の運用先は「個人向け国債」と決めてしまうと、余計な手間と考えが省けると同時に、危機回避にも役立つ。
*外為は世界最大最高級のカジノだ。
*投資信託は手数料が高すぎる。
*住宅を買い、そこに住んでいるという状態は、意味合いとしては「家賃を配当してくれる株」を持っているということだ。
*基本的に売り手が熱心に売っているものというのは買ってもメリットがないことが多い。
 わたしはそう思うのだが、著者は、
 ――(値下がりしたETFの)売却を「残念に思う」のは仕方がないが、「後悔する」のは間違っている。なぜなら、過去に自分が持っていた情報と判断力では、これを改善することができなかったからだ。改善できないことについては、諦めても何ら悪くない――
 と主張する。後悔するんじゃなく、あきらめなさい。過去の意思決定は、その時点ではそれしかなかった(言葉を変えれば正しかった)んだから、と。

 一読したときはなるほどと思った。
 だけど、よくよく考えれば、損をしたお金はあきらめなさい、あなたはその時点では正しい決断をしたのだから、といわれても、あんたがこの方法だけでOKというから、それを信じて投資したんじゃないか。
 そもそも、過去(決断を下した時点)に自分(わたし)が持っていた情報は、すべてあんたの本で得たものだ。損をしたということは、その情報が間違っていたからにほかならない。どうしてくれるんだ、その責任は!

‡2011年11月3日(木)
 
 今日は秋の市民大会。テニスのシニア(60歳以上)の部に出た。
 1回戦は6-1で楽勝。相手が73歳の人で、元気は元気なんだけど、年相応に走れなくなっている。右、左にふるだけで、ポイントをとれるのだから、やっていてそれほどおもしろいものではない。

 2回戦は前回大会の優勝者ということで、ラリー戦を覚悟していたが、相手はカットマンだった。こちらが後ろで守っていると、ボールを打ちかえすのではなく、カットしてポトンとネット際に落とす。
 ポトン、ポトンが続き、つい下がるのを怠けると、長いボールを入れられ、後追いだよ。間に合うわけがない。で、惨敗。0-6。

 途中で、わたしもカットに切り替えてはみたが、練習していないのでミスをして自滅。今にして思えば、負けを覚悟で打ち抜けばよかった。なまじ勝とうとするから、安全策に走り、相手に合わせてちまちましたテニスになってしまったのだ。

 唯一、ギャラリーから拍手をもらったのが、右前にポトンと落とされたのを、一番遠い左後ろから追いつき、相手の逆サイドに思いっきり打ちこんだパッシングショット。やればできるのだ……。

‡2011年11月5日(土)
 市民大会での惨敗に発奮し、練習をやりすぎた。ぎっくり腰ならぬぎっくり背中という感じ。突然、背筋に強烈な痛みが走り、ラケットを振れなくなった。いつもの痛みではない。悪い予感がする。そのうち、腰と背中の境界当たりの痛みが本格化。軽くジャンプするだけでずきずきする。どうやら肉離れのようだ。

‡2011年11月21日(月)
 週末の金・土・日は伊豆長岡と修善寺の温泉連泊。3日間の休養で背中の痛みはかなりよくなった。が、体重も増えて57.2キロまでいってしまった。そんな状況で64歳だ。なんだかなあ。

‡2011年11月25日(金)
 

 生まれたばかりの孫が入院。目の具合がよくない。本来なら生まれる前に剥がれおちるべき血管膜が残ったままになり、瞳孔をふさいでいるそうだ。膜を取り除くのはむずかしいので、新たに瞳孔の役目をする穴をあける。手術は30分ほどのものらしいが、これからが大変だ。視力を出していく作業がある。

‡2011年11月29日(火)
 背中の痛みが峠を越えた。すると気分がいい。やる気がわいてくる。体が快調なら心も軽くなる。体と心の連環を感じた朝だった。

 午後、孫の見舞い。眼帯はまだとれない。金曜の手術から両目を覆われ、暗闇の中で何を感じているのか。何事もなく、順調に経過するといいのだが。

‡2011年11月30日(水)
 
 このところ、朝の気功もテニスの練習もずっとお休み。背中の痛みは減ってきたが、明日が定期検診なので、今日までは休養にする。
 空いた時間を利用して 『「通貨」を知れば世界が読める』(浜矩子/PHPビジネス選書)を読む。サブタイトルは「”1ドル50円時代”は何をもたらすのか?」。

 これまで経済のことなんかまったく興味がなかった。しかし、仕事をやめてがんの治療に専念している今は、お金のことを避けては通れない。金の切れ目は命の切れ目だからね。

 それにしてもお金というものはおもしろいものだ。たとえば、貨幣と通貨の違い。著者は次のように説明する。

*貨幣=他の物を手に入れる手段として交換価値のあるもの
*通貨=貨幣に足が生えると通貨になる

 そして、現代の通貨には、足のほかに2枚の翼が生えているという。「信用」と「金融」だ。

そもそも「信用」という語は経済用語的には「給付と反対給付との間に時間のずれのある交換。物品を購入してその代価を後日に支払う類」(広辞苑)とある。相手がいずれ払ってくれると信用しているから「信用」である。

 なるほど、物々交換という決済の仕方は、単純にいえば相手が信用できないときに行うものなんだな。また、仮に相手が信用できても、彼が支払う通貨が信用できなければ、これまた物々交換にせざるをえない。
 1万円札は今日も明日もあさっても1万円――と思いがちだが、信用という翼がなくなれば、ただの紙切れ。そういうことか。

 ではもう一枚の翼、金融とは?

 

金融というのは、簡単に言えば、「金が金を生む」仕組みのことを指す。この金が金を生むという仕組みを「信用創造」という。

 金が金を生む仕組み――というと、なにやら怪しげなねずみ講を思い浮かべる。経済にうといわたしは、だからダメなんだ。そうではなく、この仕組みは健全な経済活動には欠かせないもの。つまり、

銀行にお金を預けると、そこで利子が生まれる。一方、銀行は、預けられたお金の一部を他の資金を必要とする人に貸し付ける。そのことによって経済活動は拡大し、銀行にも利子がもたらされる。こうしてお金はお金を生み出していくことになる。
そもそも金融が担っていた基本的役割はこの「経済を活性化させ、金で金を生み出し続ける」ことである。

 金が金を生む、とはそういうことか。濡れ手で粟の話ではないんだ。そして、金融がその基本的役割に徹していれば、なんの問題もないじゃないか。

 本来なら、金融にはなんの問題もないはずだ。しかし、こと金融商品となると、今のわたしにはわけがわからなくなってくる。

 昨日の夜、たまたまNHKの証券投資の講座を見た。もちろん、投資は必要という立場の番組だ。そして、資産運用するには勉強を重ね、考えに考えて投資することが重要、と説く。

 それを聞いていて、なんでそんな七面倒臭いことをやらなくちゃいけないんだ、とつくづく思った。しかも、運用可能な資産は30・40代が500万なのに対し、60・70代は2000万だという。
 70の人間が2000万もの資産運用を自己責任でやれ、と言われても途方に暮れるだけだろう。わたしは今64歳だが、経済について少し勉強しただけで、儲けるなんぞとうてい無理、と思いはじめている。

 プロがひしめく金融の世界に、一夜漬けの勉強をした素人が入っていって、資産を増やしていけるものかどうか。
 番組中でも言っていたが、金融情報は格差が極端に大きい部類に入るそうだ。いくら勉強しても素人が手にする情報とプロのそれとは天と地ほどの違いがある。プロにかなうわけがない。
 そんなプロでも投資に失敗して巨額の損失を抱えることがある。素人がそんな世界に入りこむのは、たとえてみれば、ウィンブルドンに挑むわたし、というようなものだ。

 本当に資産運用としての投資は必要なのだろうか?

‡2011年12月1日(木)
 
 今日は定期検診。いつも待たされる内視鏡検査が予約時間より30分も早く始まった。今日の先生は経過を細かく言ってくれる。
 気分はまあまあといったところ。終わったあとも気分が悪くなることはなかった。病理診断(組織の検査)のために生検(粘膜の組織の一部をつまみとる)されたのは気になる。毎度のことだが。

‡2011年12月6日(火)
 目の手術をした孫が退院。目は少し赤みが残っていた。しっかり治してくれよ。

‡2011年12月9日(金)
 定期検診の結果を聞きにいく。
 無事、通過! これで寛解後、3年6か月が過ぎた。……ここまでよくきたと思う。あと1年半だ。一日一日を大切に乗りきろう。

 生検した食道の画像を見せてもらったが、かなり大きなまだら模様が確認できた。淡染のため、生検をしたようだ。布施先生の話では、がんの場合、もっと白っぽく、あるいはピンク色らしい。
 胃は粘膜異常――びらんが散見される。悪性所見は明らかではなかった、との診断。
 CTで調べた食道・肺・肝臓・腎臓・副腎、いずれも問題なし。

 問題があったのは白血球の減少――3600だった。これまで少しずつ増加し、もう一息で正常値の4500だと期待していたのに、なぜ減ってしまったのか? たまたま今回だけ低く出たのか、それとも低下傾向にあるのか、半年に一度の検査ではよくわからない。

 対策といってもやりつくした感がある。日常生活に支障が出る値ではないので様子見ということになった。
 MONO(単球)が正常上限値7%をやや上回り7・6%ある。MONOは慢性の感染症などで高値を示すが、これぐらいのオーバーなら問題はないだろうとの所見だ。

 まったく問題なしとはなかなかいかない。100%を望んでもしかたがない。80%でも上出来じゃないか。

‡2011年12月10日(土)
 


 晴れているが寒い。年賀状の印刷が終わった。年越しの準備。

‡2011年12月12日(月)
 テニスの練習を休んで、終日、沖縄・宮古島の徒歩ルート地図を作成。年明け早々に、宮古島を歩いて一周するつもりだ。グーグルマップの使い方をすっかり忘れ、苦戦中。時間ばかりかかり、いっこうに進まない。

‡2011年12月15日(木)
 宮古島の旅を申し込む。楽天トラベルで39,200円なり。ホテル一泊付きの往復航空券。日程は7日間。

‡2011年12月19日(月)
 過活動膀胱の薬、デトルシトールが効かなくなった。2月15日に2mgを処方され、最初は劇的に効いたが、約8か月で効きが悪くなり、今は以前の状態に戻っている。
 量を増やすか、新薬のミラベグロンに替えるか。9月に発売されたばかりのミラベグロンのほうが成績はよさそうだ。

 いつも行っている泌尿器科のO先生の話では、公開されているミラベグロンの成績はそれほどでもないとのこと。都合のいいデータだけを示しているから、過大評価しないようにと言われた。ただ、悪い薬ではないので、替えてもいいとのことで、今回からミラベグロンにする。

 午後、しつこい勧誘電話だと思って無視していた電話に、3度目のコールでしぶしぶ出てみたら、懇意にしていたイラストレーターのAさんが亡くなったという訃報だった。突然のことで驚く。心不全による急死だという。一寸先は闇なり。ただただ合掌。

‡2011年12月20日(火)
 


 午前中、テニスのマシン練習。
 夕刻、A氏のお通夜。昔の仕事仲間の面々が顔をそろえていた。
 驚いたのは、T編集長(今は部長に昇格したそうだ)は脳腫瘍で手術をし、1年たったところだという。また、K編集長は脳血栓で倒れ、今も脳には80%ぐらいしか血流がいかないとのこと。
 デザイナーのTさんは腰の軟骨老化で歩くのが大変。日常の歩行がほとんどできなくなったみたいだ。定年退職したO部長も胃の手術をして以来、薬が手放せず、最近は潜血便が出て、来年早々、大腸内視鏡を受ける予定だそうだ。

 人生の黄昏時はみんな病気になる。
 Aさんはそれを知らずして逝った。還暦になったばかりの死は痛ましいが、ピンピンコロリを実現した(もちろん本人にはその気はなかっただろうが)という意味では、うらやましくもある。
 寿命がいつつきるのかはだれにもわからないが、これで良しと思った時点でころりと逝ければ最高だ。

‡2011年12月26日(月)
 みんなが集まり、一日遅れのクリスマス「カニ」パーティ。タラバ・ズワイ・毛ガニとそろいぶみ。毛ガニはすぐにわかるが、タラバとズワイの違いがわからない。ネット検索。

 タラバはカニの王者。足の身の量が圧倒的に多い。なので、ああ、カニを食った、という充実感を味わえる。よって、値段が高い。トゲトゲで痛いのが特徴。痛いっタラバ……。
 タラバガニのタラバは鱈の漁場=鱈場の意味。そこにいるカニだから、鱈場の蟹で鱈場蟹=タラバガニと呼ばれるそうな。

 一方ズワイは味に甘みがありカニのうまさを楽しめる。高級ガニではあるが、値段はタラバよりも安い。ずわいとは細い木の枝という古語(楚 すわえ、すはえ)が訛ったもの。タラバに比べ足は細い。漢字では津和井蟹とも書かれるそうな。

 毛ガニは、カニの中ではいちばんうまい、という人もいるほど、味がいい。また、味噌が大好きな人も多い。身は少ないので食べごたえの点ではほかのカニに劣る。通好みのカニかな。

 なんてことを話題にしながら、カニを食べる年の暮れだった。

‡2012年1月1日(日)
 


 新しい年、2012年が始まった。一日一日を充実して生きる。それを実感するのが今年の目標かな。大きなイベントとしてはスペイン巡礼を成功させること。あと、免疫力を高めるための節度ある生活。4年目が終わり5年目の始まりの年でもある。自信をもって問題なしと言える一年にしたい。

‡2012年1月4日(水)
  ◆切迫尿意の改善法
 薬に頼らずに切迫尿意(OAB)を改善する方法はないか。それを探る前に、切迫尿意を防ぐ薬の作用機序の復習を。
まずは抗コリン薬です。抗コリン薬は、膀胱のムスカリン受容体に結合し、アセチルコリンとムスカリン受容体の結合を阻害します。これにより、アセチルコリンによって引き起こされていた膀胱の異常な収縮が抑制され、OABが改善されます。
一方、ミラベグロンは、膀胱のβ3受容体に結合して、ノルアドレナリンによる膀胱の弛緩作用を増強します。その結果、膀胱容量が増大しOABを改善します。

 膀胱の異常収縮を抑制するか、膀胱容量を増大させるか。
 どちらにせよ、膀胱が満杯にならないのが根本原因だから、まずはできるだけ尿をためること。それには、尿意を催したらすぐに排尿するのではなく、我慢してみる。
 これは、あまりにも原始的なやり方だと思ってしまうが、立派な治療法で、膀胱訓練という名前がついて紹介されている。その方法は、
 1・トイレに行きたくなったら時計を見ながら5分我慢する。
 2・時間を決め、その時間にトイレをすませる定時排尿を習慣化する。

 やってみると、5分の我慢はとても辛い。耐えて、耐えて、さらに耐えて……、アッ!
 家にいるときはいいが、外出のときはこの訓練はやらないほうがいい。

 アッ、もれてしまった! という状態をなるべく少なくするには、骨盤底筋の体操が有効らしい。
 これは、お尻の穴をギュッと締める感じで、5秒間力を入れる。これを5回くり返す。3か月で効果が感じられるそうだ。



 夕方、Oクリニック。2週間前に替えたミラベグロンの効果がさほどでもなく、デトルシトールに戻すことにした。ただし、量は倍にする。2mg→4mgへ。
 値段を見てびっくり。合計5200円(56日分。フリバス錠25mgも)。保険がなければ1万5000円以上になる。これじゃあ、国も財政破綻するわけだ。なんとかして薬を使わなくてすむようにしなくちゃ。

‡2012年1月5日(木)
 ジャパンネット銀行の口座維持手数料をとられていることに、今日、気づいた。開設した2008年8月から189円/月の手数料が発生していた。そんなこととはつゆ知らず、ほとんど使わない口座に、3年半も手数料をはらって放置していたとは……。

‡2012年1月12日(木)
 3時30分起床。今日から1週間の沖縄・宮古島歩き旅だ。本当なら寒いこの時期は1か月ほど沖縄で暮らして、体力・気力をアップしたかったのだが、準備不足で断念。今回の旅は、宮古島で1~2か月暮らせる場所を見つけ、来年の避寒対策に役立てるためのもの。楽しんで歩いてこよう。
 旅の詳細は「沖縄・宮古島 歩いて一周」を参照のこと。

‡2012年1月20日(金)
 沖縄の旅では雨にさんざん泣かされた。そのころ東京は晴れだったのに、帰ってきたら、それまで晴れが続いていた天気が悪くなり、今日は雪まで降ってきた。逆に沖縄は晴れだ。いやになる。
 終日、ホームページ用のデータ整理。寒い。

‡2012年1月23日(月)
 ずっと天気が悪い。テニスの練習ができずに体重が少しずつ増えている。今朝は56.2キロ、体脂肪17.8だった。ずるずると増やすわけにはいかない。練習ができないときは低カロリー食を考えること。食前野菜がよさそうだ。食事の最初に野菜をモリモリ食べ、おなかがへった感をなくしておくと、ご飯の量が少なくてすむ。

‡2012年1月26日(日)
 朝、パソコンを立ち上げたら、フォルダーを開くのにずいぶん時間がかかる。10分近くたって開いた。以前、HDがクラッシュしたときと似た現象だ。再起動をかけたらこれまた10分たってから起動。そのときの起動直後の画面で「レイド不良」のメッセージ。

 不良メッセージをクリックしてみると、ポート1が障害、早急にHDを交換せよ、との内容だ。
 去年の2月にポート0を交換しているが、今度はポート1だよ。結局、内蔵HDが2つともいかれたことになる。幸いなことにHDは3年保障にはいっており、保障は今年の12月まである。
 サポートに電話して修理を依頼する。それにしても、購入1年後、2年後と、立て続けにHDが壊れるなんて、もともと欠陥品だったとしか思えない。

‡2012年2月1日(水)
 

 つい先ほどパソコンが返ってきて、今使っている。問題なし。修理伝票を見ると、HD以外にビデオカードが不具合で交換したとある。
 そういえば、以前、ビデオカードがなんたらというメッセージが出たことがあった。画面表示に特別の問題も感じなかったし、よくわからなかったので放っておいた。しかし、本当は交換しなければいけないような不具合だったようだ。

 パソコンに関しては根本的な部分で不満がある。
 世の中に出まわっている商品で、欠陥品が堂々と売られているのはパソコンのソフトだけだ。ソフトはほとんど(全部といってもいい)が欠陥品で、商品化されたあとに修正に次ぐ修正というのは当たり前。それについてはだれも疑問に思わない。

 製造物責任法でも、パソコンの欠陥は製造者に責任を問えるが、ソフトは「無体物」なので製造者に責任はない、という。しかし、パソコンの欠陥であれソフトの欠陥であれ、ユーザーが被害をこうむるのは同じだ。なのに、ソフトだけ責任を問われないというのは、おかしくないか?

‡2012年2月6日(月)
 体重計を買い替えた。新しい体重計では骨量を計ることができる。さっそく計ってみると、値が標準より低い。骨が不足しているとは思ってもいなかった。カルシウムの補給が必要。牛乳は下痢をするのでNG。ほかの食品をさがす。以下はネットのデータ。

 ポイント1は、カルシウムの所要量は600mg/1日ということ。
 そしてポイント2は、カルシウムの摂取量が少ないと、血液中のカルシウム濃度を保つために骨のカルシウムを使う。そのため骨が弱くなるということ。

 加齢にともなう骨量減少はしかたがないとしても、やはりカルシウム不足には注意したほうがいい。そこで、カルシウムを多く含む食品を調べてみた(100gで)。
煮干し2200mg/いわし丸干し1400mg/ヒジキ1400mg/プロセスチーズ630mg/小松菜290mg/豆腐120mg/ヨーグルト110mg/牛乳100mg/納豆90mg

 1日に600mg摂取というと、以下のようになる。
煮干し28g/いわし丸干し43g/ヒジキ43g/プロセスチーズ96g/小松菜207g/豆腐500g/ヨーグルト547g/牛乳603g/納豆667g

 ヒジキと豆腐、納豆はよく食べている。煮干しはみそ汁のダシに使っているが、ダシをとったあとは捨てていた。それを食べることにしようか。あと、イワシの丸干しだな。ただし塩分過剰に要注意。そんなところでしばらく様子をみよう。

‡2012年2月11日(土)
 

 スペインの巡礼路、サンティアゴ・デ・コンポステーラの説明会に行く。主催は日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会。
 下北沢駅から数分で会場の下北沢タウンホールに着いた。
 盛況だった。受付けは長蛇の列で、予約なしの人が「キャンセル待ちになります」などと言われている。

 空いた席に座って見回すと、50名はいるかな。リタイヤ組らしき初老の男性、おばさん、若い女性がほぼ同数ぐらい。若い男性もチラホラ。年寄りばかりと思っていたが、そうでもないようだ。

 友の会の森岡朋子代表による挨拶のあと、巡礼路の歴史やルート、巡礼に必要な装備や注意事項など、役に立つ情報が次々に開陳された。現地を訪れた人たちの話だけに、参考になることが多い。

 わたしは、いちばん心配だった治安について質問してみた。スペインは経済情勢が悪いだけに、治安も悪化しているのでは?

 答えは、意外なことに「巡礼路は安全」というものだった。理由を聞いて納得。
 サンティアゴ巡礼の歴史は1200年にも及ぶという。この長い年月を支えたのがキリスト教だ。つまり巡礼路は信者の歩く道であり、彼らに危害を加えることは神への冒涜――というような意識が、スペインの人々には深く浸透しているようなのだ。
 
 あぶないのは巡礼路の途上に点在する大都会。過酷な毎日を過ごす歩き旅では、都会がオアシスみたいに感じ、つい気がゆるんでしまうらしい。小学生レベルの安全意識しか持っていない日本人は、そうなると絶好のカモになってしまうようなのだ。
 わたし自身もネギを背負ったカモになりそう。要注意だな。

‡2012年2月13日(月)
 

 最近、夜中から朝にかけて胃の不快感あり。ふと目覚めると、胃が重苦しい。原因はたぶん夕食の食べすぎだ。
 通常量のご飯を食べ、そのあとにバナナ2本の輪切りにヨーグルトをかけて食べ、さらに口さびしくてカリントウを食べたいだけ食べる。これじゃあ、寝るまでの1、2時間ですべてが消化されて胃が空っぽになるなんて考えられない。結果、寝ている間も胃が働き、不快感を覚える。

 なぜ、そこまで食べるのか。肉体的な欲求とは思えない。精神的な食べ物欲求だと思うので、原因を探るべし。

‡2012年2月14日(火)
 午後から雨の予報なのでテニスの練習は休むことにした。新聞で見た「過剰な運動による筋肉の再生障害」で筋肉が減ってしまう――という記事が気になるのだ。

 筋肉がなかなか増えない。これだけ運動をやっているのに……と、ここ一年感じてきた。慢性的な腰痛・背中痛も完治しない。
 運動のやりすぎによる筋肉の再生障害で、腰背筋が強化されないのかな、と思うが、では、やめるとどうなるかといえば、体重がみるみる増えていく。

 結局、筋肉が増えないので、基礎代謝が少ない。そのため摂取カロリーがオーバー気味になり、運動しないと余ったカロリーが脂肪に変わって、内臓脂肪として蓄積される。
 で、基礎代謝を上げるために筋肉を増やす=運動量を増やすと、腰痛・背中痛は治らず、過剰運動で筋肉も増えない。
 この悪循環が今の状態のような気もする。

 さて、どうしたもんか。まずは、テニスの練習量を少し減らし、いつのまにかやめてしまった腕立て伏せとスクワットを再開するか。
 とにかく、筋肉と骨量を増やすこと。今年の目標だな。

‡2012年3月1日(木)
 

 確定申告書提出。今年はパソコンでつくってみた。入力操作を覚えれば、面倒な計算をしなくていいだけ楽だ。
 国税庁のサイトの説明では、つくったデータをそのまま送れるとある。しかし、送るための手続きが煩雑すぎる。これならプリントして税務署に提出したほうが早い。

‡2012年3月17日(土)
  ◆たんぱく質については、味の素のホームページで興味深いデータを見つけた。
タンパク質は分解するとアミノ酸になりますが、お肉やお魚、卵、牛乳等摂取する食物の種類によってこのアミノ酸の組成は大きく異なります。
 最近の研究により、このアミノ酸の組成によって筋肉の合成の度合いが大きく異なることが分かってきています。つまり、摂取するアミノ酸の種類を考えることにより、より効果的に筋肉を維持、増加させていくことができるのです。

 ではどのようなアミノ酸組成が良いのでしょうか。
 ある研究成果からBCAA(Blanched Chain Amino Acid)=分岐鎖アミノ酸という種類のアミノ酸、特にその中でも「ロイシン」というアミノ酸が筋肉の合成に非常に重要な役割を果たしていることが分かってきています。このBCAAやロイシンを摂取するとこれらのアミノ酸は体に筋肉を合成するようにとのシグナルを送ります。
 このシグナルに反応して体は筋肉を合成しようとしますが、その際には筋肉を構成するアミノ酸、特に必須アミノ酸の存在が重要となります。この必須アミノ酸が十分な量存在しなければ、せっかく体が筋肉を合成しようとしても筋肉を構成する部品がないため、筋肉合成が進まなくなってしまいます。
 以上のことから、筋肉合成のシグナルとしてのBCAAやロイシンと筋肉を構成する部品としての必須アミノ酸の組み合わせが非常に重要であると考えられます。
 そのため、食事やサプリメント等の摂取の際にこのようなアミノ酸組成を考えながら摂取することが非常に重要です。
 筋肉の減少について調べていて、「サルコペニア」という言葉にぶつかった。サルコ=筋肉、ぺニア=減少、という医学用語だ。
 これは、加齢とともに筋繊維が減っていき、筋力が低下する現象で、高齢者の転倒→骨折→寝たきりといったマイナス・スパイラルの元凶になっているものだという。

 結局は老化現象なんだよなあ……。
 自分の年齢も考えず、運動してもいっこうに筋肉が増えないとなげいているのは、おろかしいことかもしれない。64歳といえば、老体、老躯じゃないか。筋骨隆々の年代はとっくの昔にすぎさっているのだ。そんな単純なことに気がつかないなんて。

 とはいえ、まだ老耄(おいぼれ・ろうもう)という年ではない。辞書には、「老」は70歳、「耄」は8、90歳の老人とあるから、もう少々、時間はありそうだ。その間、少しでもサルコペニアを遅らせる方法はないか。

 基本はやっぱり食事と筋トレだろう。
 食事は、上質のたんぱく質摂取につきる。
 「脂肪が少なく、安価なタンパク質食品は鶏肉(皮は剥ぐ)、卵白、プロテインなどです」とネット情報にあるが、鶏肉は寛解5年経過後の課題としておき、今は卵とプロテインかな。この2つを意識して摂取すること。

 筋トレについては、腕立て伏せとスクワットで、大きな筋肉を増やすこと。粘り強くやるしかないな。
 その際、注意するのは、スクワットは膝関節を痛めやすいことだ。今でも膝が痛むことがあり、この点にはくれぐれも注意すること。
 もうひとつ、ストレッチの注意点でナルホドと思ったことがあるので書いておく。

ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。
1)時間は最低20秒以上
2)伸ばす筋や部位を意識する
3)痛くなく気持ち良い程度に伸ばす
4)呼吸を止めないように意識する
5)目的に応じて部位を選択する

  ◆スクワットの注意点について、以下のようなネット情報がある。参考までに。

 スクワットにはフォームによっては膝関節を痛めやすいという問題があります。上体がまっすぐに起きて膝が前に出るフォームは、膝伸展筋の大腿四頭筋を鍛える効果的な方法ですが、膝傷害の危険性という点ではあまり勧められません。構造上膝関節が脆弱となる膝が深く屈曲した状態のときに、膝関節にとても強い負荷がかかるフォームだからです。

 膝を痛めないように安全にスクワットを行うためには、お尻を後ろに引いて上体をやや前傾し、膝が前に出ないフォームで行う必要があります。
 高齢者向けの運動処方として椅子から立ち上がって座る動作を繰り返す「椅子スクワット」がよく行われます。椅子スクワットでは、椅子に座るためにお尻を引いて上体を前頃したフォームになりますので、自然に膝を痛めずに安全に行えるフォームになります。
 また、しゃがみ込みから立ち上がり動作に移行する「切り返し」動作での劇力(強くて瞬間的に加わる力)が加わりません。しゃがみ込みが深くなりすぎることがないことも安全性という点で優れています。


 時間を20秒以上というのは、「最初の5-10秒程度は適度な伸展度合いに定めるためのムダな時間だからです」ということらしい。
 ナルホド!
 あと、次のようなこともナルホド!だった。

正しく筋トレをした分、筋肉に栄養が届くようになるので、最初のうちは痩せながら筋肉が増えることもあるかもしれませんが、基本的には体重が増加傾向にある時しか筋肉は増えず、体重が減少傾向にある時は筋肉も減少傾向にあるということになります。
 つまり、筋肉を積極的につける時は多少脂肪も増えてしまい、積極的に脂肪を減らす時は多少筋肉も減ってしまうということです。

 ということで、サルコペニアということを自覚しつつ、食事に気配りし、筋トレを粘り強くやる。これが対策法の結論だ。

‡2012年3月18日(日)
 同じく懸案だった老後資金の運用法について。
 素人は資産運用などに手を出さないほうがいいのでは、と思ったりもするのだが、一方で、がんと闘うためにはどうしてもお金が必要で、座して死を待つわけにもいかない。
 それでふと思いついたのが、公的年金の運用方法をそっくり真似れば、素人でも損をしないのでは、ということだ。年金資金の運用は損を出さないことが鉄則だからね。

 調べてみると、日本の年金は、厚生労働省管轄の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」で運用されている。最新のレポートでは108兆円を運用し、プラス0・58%、6187億円の利益をあげている。
 ポートフォリオは、国内債券67% 国内株式11% 外国債券8% 外国株式10% 短期資産3% というものになっている。

 

 このポートフォリオに関しては、国債だけにすべし(年金という資産の特殊性を考えると損はできないから)という意見と、国債なんかやめてもっとリスクをとるべき(今後は年金財源が少なくなるのでなるべく増やすため)という、両極端に分かれる。

 どちらも一理ある。が、わたしの性格としては安全を優先し、国債一本やりでもいいと思う。そのうえで、目減りしない方策を社会全体で実現するほうが、より健全だろう。どうも投資というのは、虚像の要素が大きすぎると感じるからだ。

 現在の投資は、本来の投資という概念からはかけ離れている。投資と言いながら、じつは投機でしかない行為が多すぎる。実体経済に反映されない投資は、投資ではない――とわたしは思うのだ。

 年金の投資法を真似てやれば、労せずして益を得られると思ったが、株の銘柄や外国債券なんか皆目見当がつかない。もう少し研究が必要だ。結論は先送り。

‡2012年3月19日(月)
 
 このところ、暇を見つけては、サンティアゴ巡礼の情報を集めている。季節的にいいのは5月から6月のようだ。
 去年のルルド巡礼は5月に行ったが、暑からず寒からず、目にもあざやかな新緑の景色が楽しめた。
  ◆5月のルルドは緑が目にまぶしい。

 サンティアゴ巡礼の出発地、フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーとルルドは100キロほどしか離れていない。気候的には同じようなものだろうから、春は、歩き旅には格好の季節に思える。

 サンティアゴの旅は、夏の終わりから秋に予定している。それだと、季節としては少しわびしい気がしてきた。
 スペインの見渡す限りの緑のじゅうたんは、小麦畑が織りなすものだが、小麦の収穫時期は5、6、7月なので、それが過ぎると畑は赤茶けた大地になるようだ。日本でいえば冬枯れの田んぼのようなものか。
 そんな光景の中を歩きたくはない。できることなら、ルルドで見たような新緑の中を歩きたい。とすると、4月、遅くとも5月には出発しなければならない。だけど、準備はまったく整っていないし、どうしたものか。

‡2012年3月26日(月)
 

 今日は4時から大腸の内視鏡検査。前回の検査から2年たっている。あのときは、あまりの痛さに二度と検査なんか受けない、と思った。
 しかし、そうもいかない。主治医の布施先生にも、年齢的に前立腺と大腸は注意したほうがいい、と言われている。
 前立腺のほうは定期的にPSA値の検査をしているからいいとして、大腸は2年間、放っておいた。これはやはりまずいだろう。

 一般的に、食道がんの転移先としては「肝臓、肺、骨、副腎、脳」、そして「リンパ節」があげられる。大腸に転移するケースは少ないようだ。
 とはいえ、初発の大腸がんということもある。胃に発生した「がんの芽」のこともあるし、2年も放っておくと、なんとはなしに不安を感じるというのが正直な心境。だったら検査をしてみたら。

 ……うん、そうしようか。
 重い腰をあげ、数年前に調べたことのある「無痛」の大腸内視鏡検査を行う病院――本郷メディカルクリニックを再検索。まだやっていた。
 ホームページのキャッチフレーズは「最高レベルの大腸内視鏡を約束します」というもの。偶然にもテニス仲間のひとりが、このクリニックで検査を受けていた。宣伝どおり、まったく痛くなかったそうだ。

 
◆大腸検診の検査結果画像。
 体験者からじかに話を聞けたし、すぐに申し込んだ。
 結果は、特大のハナマル、☆5つを進呈しても足りないくらい。
 それにしても、前回のあの痛さはいったいなんだったんだ。ヤブめ! あらためて怒りがわいてきた。それほどに今回の検査は快適だった。

 そうそう、検査結果だが、ポリープが3個あった。直径10ミリと2ミリのものは切除、1ミリは経過観察にした。切除したポリープは、後日の細胞診断(病理診断)で良性の腫瘍と判定された。
 内視鏡映像のDVD付きで3万710円。まったくの無痛だったし、好きなときに大腸を鑑賞できるDVDもあるし、安いものだと思う。

‡2012年3月27日(火)
 宮崎の姉に電話したら、義兄が脳出血で手術したと言う。血管内治療というむずかしい手術らしいが、手術後に再出血し、顔の筋肉に麻痺の障害が出ているそうだ。

 出血はそれほどの量ではなく、今はおさまっているので、このまま推移すれば大事にはいたらないみたいだ。治療はまだ続くが、調べた限りでは、義兄の症状の場合、「年間の死亡率は1%、障害を残す率は2.7%と報告されています」というデータがあった。

 
 脳出血だけに何が起きるか予断は許されないが、わたしの食道ガンに比べれば楽勝の数字じゃないか。安心してもいいんじゃない。
 電話ではそんな話をして励ましたが、当事者にしてみればそう簡単に気持ちの整理がつくものではないだろう。心配だが、しばらくは様子をみるしかなさそうだ。

‡2012年4月10日(火)
 左の扁桃腺に痛みを感じるが、4時にO歯科の予約が入っているので、我慢して出かける。口をあけるぐらいなら問題ないだろう。

 歯のチェックはさんざん。自分ではけっこう磨いてきたつもりだが、左右とも奥歯の3本は歯周病が進んでいた。とくに右は6ミリのポケットができ、骨もとけているとか。歯間ブラシの使い方が全然できていないと指摘される。

 今日もまた磨き方のチェック。ああだ、こうだと言われ、いいかげんイヤになる。ここ3か月、まじめに歯磨きをしてきたのに、悪くなっているとはどういうこと。なんだか納得がいかない。歯磨き以外に、歯周病を治す方法はないのか? 

 次回のチェックは7月。もう3か月歯磨きに挑戦してみて、結果が出ないようなら、歯周病学会の名簿に出ている専門医に行くことにしよう。

‡2012年4月23日(月)
 

 新宿のミズノへ行く。高野山巡礼用のウォーキングシューズを新調するつもりだ。
 前のトレッキングシューズは店員のすすめと自分の直感で選び、大失敗だった。今度は靴に関する勉強もしたし、慎重に履きくらべる。が、これだ、という靴がない。

 そうやって2時間半も粘っていると、店員も渋い顔になる。ここはベストをあきらめベターでいくしかないな。
 ミズノ以外のウォーキングシューズは考えていないので、まあまあの感触だった新発売のLD50Ⅳを購入。足に合わない部分は別売の靴敷きに替えて調整し、なんとかなった。

 靴は1万9950円だが、それ以外に別売靴敷き4410円というのは、なんだかなあ~という感じ。正規の靴敷きのままで足にぴったりの靴をつくってくれよなあ。
 合計2万4360円也。ま、これでマメができずに気持ちよく歩ければ安いものだが……。

‡2012年4月28日(土)
 高野山巡礼の日程づくり。京都の東寺から高野山まで歩くつもりだが、それだと7日で終わってしまう。もう少し歩きたいので、熊野三山の本宮大社まで行こうかと思う。それだと12日かかり、5月14日出発の25日帰京。31日には大事な定期検診があるので、1週間ほどの休養期間はおきたい。となると、だいたいこんな予定だろう。

‡2012年5月13日(日)
  ◆高野山の象徴ともいえる根本大塔。朱塗りの二重塔は下が方形、上が円形になっており、寺域ではひときわ目を引く建造物だ。写真の右下に写っているのはイメージキャラクターのこうやくん。
 昨日、今日と山梨の湯村温泉へ。明日からの巡礼にそなえ、英気を養ってきた。
 旅の準備も滑り込みセーフで整った。一部、間に合わなかったものもあるが、まあ問題はないだろう。どんな旅が待っていることやら、楽しんでこよう。 (高野山&熊野の巡礼旅は制作中)。


‡2012年5月28日(月)
 
 終日、高野山&熊野巡礼のデータ整理。疲れが出て気乗りしない。夕食をつくる気力もなく、出前の寿司にした。
 夜、宮崎の姉に電話したら、義兄が三度目の出血で入院とのこと。大した量ではないようだが、いろいろ大変そうだ。夏の帰省旅行は中止するしかないな。

‡2012年5月31日(木)
 巡礼の疲れもすっかりとれた。今日の定期検査は、自信をもって受けることができる。高野山にお参りし、満願成就したのだから、ご利益は絶大なものがあるはずだ。

 ま、神頼みは慎むとして、体調がいいことは事実。検査で悪いところが見つかるはずがない。そんな気持ちにもなろうというものだ。

 検査はいつもどおり。今回で満4年になるわけだから、手順は体が覚えている。なんの支障もなく終了し、1週間後の結果待ち。
 内視鏡では、終わったあとに先生がボソッと一言「問題はありませんね」と。これほど嬉しい言葉はない。

‡2012年6月6日(水)
 高野山から帰ってきて、定期検診も無事に終わり、どうも怠けてしまいがちだ。シャキッとしないうちに6月も1週間がすぎた。今日は早朝テニスの予定だったが、あいにくの雨。といっても、雨で休みになったのはちょっぴり嬉しくもあったが。怠けグセがついたかな。

 
 高野山巡礼でたまっていた新聞を読んでいたら、ひと月ほど前の朝日新聞におもしろい記事があった。金融情報面の「年金の運用をやめよう」というタイトルの記事(5月18日の朝刊)だ。
 これは、運用の失敗から多くの企業年金基金で損失が出ているAIJ事件を踏まえ、根本的な問題解決策は、年金資産の運用をやめ、元本確保を最優先したらどうか、という提言だ。

 年金は老後の生活を支えるもので、元本の確保が最優先されるべき資産――だからこそ、リスクは最小限におさえ、元本を守ることを原則にしてもいいんじゃないか、という。

 AIJ事件は、運用の失敗というより詐欺の側面が強く、投資顧問会社にお金をだましとられたというほうが当てはまるかもしれない。
 だが、たとえそうであっても、被害者が、運用によって年金資産を増やそうと思ったことはたしかで、その考え方自体を変えない限り、同種の事件はこれからも起きる可能性がある。

 投資で資産を増やそうなんて思うな。
 わたしが子供のころ、もう半世紀も昔のことだが、そのころの庶民に投資なんぞという概念は無縁のものだった。反対に、株で儲けた、損したと公言するような人は、堅気とはみなされない雰囲気があったなあ。

 だが、時代は流れ、わたしのような典型庶民も 『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 』(勝間和代/光文社新書)というような本を読み、投資をしないヤツはこれからの世の中では落伍者になる、と思いこんでしまった。
 投資をしなければ落伍者。だからといって、投資をして損をすればこれまた落伍者。どっちみち落伍者になるのが、現代日本に生きるわたしの行く末なのか。

 アホらしいことを考えるのはやめよう。第3の道がないか、それを真剣に模索したほうが体にいい。

‡2012年6月8日(金)
 
 7時に家を出て、がん研究センター10時前着。
 診察室に入ると布施先生のほかに若い研修医がひとりいた。いつもより説明がていねいなのは、研修医にやり方を教えるためか。
 検査結果はすべてOK。問題なし。
 寛解4年目をクリアーした。よかった。

 今回はそれほど心配しなかった。悪い予感がなかったし、結果もそのとおりだった。もちろん嬉しいことは嬉しいが、わりと平静な気持ち。

 布施先生の話を聞き、診察室をあとにする。大勢の人が待っている待合室を通って診療費の清算受付けまで行くとき、ちょっと誇らしい気持ち(ちょっとだけだよ)になる。
 それは、生存率30パーセントというむずかしいがんを克服しつつあるわたし、すばらしいでしょう、ほら、見て見て、とアピールしたい気持ちから生まれてくる感情だろう。

 だけど、これがもしも地獄の宣告だったら? ここをどんな気持ちで歩くのだろうか……。
 いかん、いかん、縁起でもない。バカなことを考えるのはよそう!

 がん研究センターの外に出るといい天気だった。梅雨もまだなのに、初夏のような陽射しが照り映えている。
 寛解4年目が終わり、今日から5年目が始まるんだな。
 目標は?
 そう……特別なものは思いつかない。これまでと同じような暮らしを淡々と過ごすだけ。それでいいんじゃないだろうか。きのうと同じ今日、今日と同じ明日、変わりばえのしないおだやかな生活。それが積もり積もって、一年が過ぎてくれれば、いうことなしだ。

 それにしても今日はほんとうにいい天気だ。空が青く、太陽の輝きがまぶしい。

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