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雨の旅立ち
  宮古島にきて5日目。今日は5時半起床。ゆっくりと支度をし、キッチンでパンとイワシの缶詰、コーヒーという朝食。同宿のマラソン青年も早起きとみえ、6時すぎには起きだして乾燥機をぶんまわしている。

 もう一人とまっている青年には、早朝からの乾燥機の騒音は気の毒だが、彼はなんだか得体の知れない存在だった。キッチンに顔も出さないし、話もしない。まあ、人それぞれ。詮索はしないのが、わたしの旅の流儀だ。

 マラソン青年に別れを告げ、さて出発だ。時計は7時19分をさしている。
 玄関を出たとたん、雨がポツポツ降りだした。なんじゃこれは、どうする?
 東の空にはほんの少しアカネ色が見えているが、黒い雲が低くたれこめ、速いスピードで流れている。ともかく、カメラをしまおうぜ。黒雲がいつ真上にきて、大雨にならないとも限らない。なんとか別の方向にいってくれよなあ。
  ゲストハウスの前の道路。雨雲のせいでまだ薄暗い。朝からこれじゃあ先が思いやられる。
今日は東海岸沿いの83号線をひたすら歩き、東平安名崎まで約10キロ。それから南海岸に出て13キロだから、合計23キロの予定だ。ずっと雨だとけっこうきつい。
 1時間足らずで、昨日立ち寄った城辺総合運動公園に着き、83号線に入る。
 公園のそばから黒いチビ犬がついてくる。うぐいすパンをあげたらぺろり。首輪があるから飼い犬なのだろうが、迷ってしまったのか。
 ちょろちょろあとをついてくるが、パンをあげたのは失敗だった。これからは知らん顔をしていよう。なつかれても困る。

嵐の道
 本格的に雨が降りだした。と思う間もなく、海からの風が雨を運び、容赦なく叩きつける。これは嵐だ。とても歩けたもんじゃない。
  晴れていれば、真っ青な海と空が楽しめる道も、嵐の日は、見晴らしがいいぶん風が強い。
道路のわきに防風林があると、海が見えなくて文句を言ってきたが、今日は防風林さまさま。
防風林が切れたこんなところは、風に吹き飛ばされないよう、足早に通りすぎる。
 歩くのを断念。木陰で様子見。ちびクロもさっさと葉っぱの下に入ってうずくまっている。

 しばらく待ってみたがおさまりそうにないので出発。ちびクロはうずくまって出てこない。おいていくか。ここまで一緒だったのでかわいそうな気もするが、なまじ仏心をおこしてもどうなるものでもない。あとをふりかえりつつ、でも歩きだす。

 海からものすごい風が吹きつける。防風林の役目が肌身にしみてわかった。これがあるとないでは、風速が10メートルは違うな。いやいや、たいしたもんだ。

 雨と風を全身で受けとめながら歩く。吉野ビーチへの案内板があった。後学のためだ、嵐の海を見てみるか。
 海岸へ降りる坂道を数分歩き、砂浜に出る。人っ子一人いない砂浜は、雨にぬれて本来の白さを失い、ただただわびしく広がっていた。
  空も海も黒っぽく、吹きつける海風は、早く立ち去れ、といっているかのような吉野ビーチだった。
 吉野ビーチから2キロほど歩くと、東平安名崎への分岐点にたどりつく。ここは躊躇なく本線を行く。嵐の中、細長い岬の突端まで行く元気はない。

 ポンチョを着て、足元にはスパッツをつけているが、レインズボンは持ってこなかった。少々の雨なら、ズボンがなくてもいいと思ったのだ。
 が、この嵐は想定外。レインズボンがないと、脚は雨水がしたたり落ちるにまかせるほかない。なんだか、全身水びたしのような感覚になってしまう。大失敗だあ。

 11時すぎに保良川ビーチ着。風雨、ますます強し。歩くのがイヤになる。少し休んでいこう。
  保良川ビーチ。砂浜まで行く元気もなく、駐車場から眺めただけ。
 まだ早いが、ビーチそばにある海宝舘のレストランで、お昼を食べることにした。
 水をはらいながらポンチョを脱ぐ。全身まさにびしょぬれという感じだな。下半身は雨、上半身は汗だよ。ん? これほど汗をかくとは……。
 ポンチョのタグを確認する。ナイロン100パーセント。えっ? ゴアテックスじゃなかったの? なんでこんなものを買ってしまったんだ。今の今まで気がつかなかった。またまた、大失敗だあ!
  昼食のラフテー丼。735円なり。海宝館のレストランは団体客が入れるようにかなりの広さがあった。そんなレストランでひとりだけの昼食。なんだかわびしくて食が進まず、ラフテー丼を残してしまう。
 11時40分、出発。風雨いまだ衰えなし。
 12時30分、ムイガー断崖通過。このあたりには人が住めない。電柱が一本もないもの。
  通る車もない南海岸沿いの235号線。道路の突き当りに見えるのがムイガー断崖。
インギャーマリンガーデン
 13時52分、インギャーマリンガーデン着。ここまで歩いているうちに、激しかった雨がやんだ。どうやら嵐は去ったようだ。
 マリンガーデンから今日の宿のペンション美南海までは数分の距離。チェックインには時間が早いのでガーデンを散策してみるか。
  展望台のある丘の方向から見下ろしたマリンガーデンの入り口。岩場の遊歩道の向こう側が入り口だ。
 雨はあがったが、気温が急激に下がってきて寒い。宮古島にきて初めて寒さを感じた。
 遊歩道を歩いていると、体が寒さに対抗して熱を出しているのがわかる。自分の体温がいとおしい。これぞまさに生きている実感。

 マリンガーデンは岩場から丘にかけて遊歩道が張り巡らされているだけの素朴なつくり。遊歩道を一周し、展望台まで登る。そこは予想外に絶景だった。
  展望台から眺めた海。こんな眺望の場所に家を建てられるなら、すぐに移住してもいい。
ただし、あの嵐をどうやってしのぐか、それが問題だな。これだけ風通しがいいと、相当頑丈な造りじゃないとすぐに吹き飛ばされそうだ。
 ともあれ、今日の嵐はいい体験だった。
 人生、晴れの日ばかりじゃない。嵐のことも考えておかないと、とんでもない目にあう。体験して初めてわかる自然の厳しさ。それを思い知らされた一日だった。

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