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伊良部よ、また逢う日まで
 まだ夜が明けていない7時10分、スーパーライナーはやてで宮古島へ帰る。伊良部島は半周しか歩けなかったが、今度はテニス合宿でくるつもりだから、残りはそのときだ。
  小雨が降り続く伊良部島を後にして、朝一番の船で宮古島へ帰る。
 今日もまた雨。今年は異常気象で雨ばかりだそうだ。寒くないだけましだけど、やっぱりオキナワ〜ッというような太陽がほしい。

 平良港ターミナルの売店でイモパンを買い、待合所で朝食。食べている間に雨があがった。とはいえ、いつまた降りだすかわからない。ポンチョやスパッツをリュックのいちばん上に入れ、すぐに取りだせるようにする。
 さて、行くとするか。

砂山ビーチ
 7時55分に平良港ターミナルを出発し、8時53分には砂山ビーチに着いた。距離にして3・7キロだから、のんびりペース。
 今回の旅は特別な目的があるわけじゃない。寒さで縮こまった筋肉が、南の島のあったかマッサージでときほぐされれば、それでいい。のんびりがいちばん。
  ビーチにはだれもいない。天気がよければ観光客もやってくるのだろうが、いつ降るかわからないこの状況じゃあ海なんか見てもしかたがないか。
でも、海はきれいだ。曇り空でもこれだけ透明感のある海は、ほかではなかなか見られないだろう。
ひとり占めできるのは、ぜいたく、ぜいたく。
 砂山ビーチを堪能し、大浦湾を左手に見ながら歩く。ここはひたすら歩くだけ。サトウキビ畑、あるいは防風林の単純な景色の道。海には沿っているから、ところどころにある切れ目から湾が見えたりする。

 おっと、日が照ってきたぜ。雨を心配していたが、これなら降らないですむかもしれない。

 建売住宅の看板だ。なになに、宅地61坪、建物26・6坪で2780万か。沖縄移住という夢は、まだ捨ててはいない。魅力的だが、もう少し安くないと、なあ。

 おや、ネコがいる。
 クロネコに つい目が向いてしまう 旅の道……。
 字余りでよければ いくらでも作れる 俳句もどき――などと、らちもないことをつぶやきながら歩くうちに、宮古島海中公園に着いた。ここで昼食だ。

海中水族館
 大失敗。水族館もある立派な公園だし、間違いなくレストランがある、と思いこんでいた。だが、この海中公園には売店すらなかった。
 車ならいざ知らず、歩き旅では右から左に食べ物を調達するのは不可能。どうしよう。

 朝の残りのイモパンが一個、ミニソーセージの缶詰が一缶……。リュックに入っていた食料はそれだけ。カップラーメンがひとつあるが、お湯がない。
 けっこう、けっこう。少しでも食べられるだけ、ありがたいことだ。昼を抜いたって死にはしない。
  お昼にする前に、海中水族館を見てみた。水深何メートルかは聞き忘れたが、海面下につくられたのぞき窓から海中が見えるようになっている。窓から見上げた水面は3、4メートルといったところか。
魚の姿が見当たらない。天気が悪くて波が荒かったし、魚も出歩きたくないのだろう。

と思っていたら、ラッキーなことに魚たちの昼食時間になった。撒き餌に魚が群がってくる。けっこう大きなやつもいて、あれなら刺身にできるかも。
マングローブ林
 予定より1時間早く、12時55分に海中公園を出発。これから島尻のマングローブ林を見て、今朝がた通りすぎた砂山ビーチ近くのゲストハウスへ行く。10・3キロの道のりだ。3時間もあればお釣りがくる。

 ルートとしては、西海岸沿いに歩いて西平安名岬の手前でUターンし、東海岸側を歩くようになる。本当なら池間島に行くのが島一周のルートなのだが、今回は時間が足りない。割愛。

 分厚い雨雲がなくなり、薄い雲の合間から青空も見えるようになった。これで雨は心配しなくていいだろう。半島を横切ると島尻地区だ。マングローブ林への入り口はすぐにわかった。
  島尻のマングローブ林は、奥行き約1キロの入江に群落を形成している。そこでは、宮古島で観察される5種類のマングローブすべてが見られるというが、植物にうといわたしにはどれがどれやら区別がつかない。ただ、これぞマングローブ林という雰囲気は十分に味わえた。
 マングローブを見ながら遊歩道を歩いていると、半袖・赤ズボンのおじさんに声をかけられた。このあたりになにやら歴史的な遺物があるらしいのだが、知らないか、という。
 今日、はじめて訪れたわたしが知っているわけがない。

風葬
 そんなこんなで立ち話をしているうちに、近くの山に風葬の場所が残っているという話になった。どうやらおじさんの興味は、民俗学的な遺物にあるようだ。

 風葬に興味はなかったが、寄ってみますよ、と言って、おじさんと別れ、歩き再開。
 時刻は2時すぎ。天気もだんだんよくなってくる。ときおり薄日も射す。気分よく歩いていたら、わたしを追い越していった車が数メートル先でとまった。
 おりてきたのは、さっきのおじさんじゃないか。
 教えたてまえ、迷わないか、心配になって追いかけてきましたよ、と言う。

 車がとまったのが、ちょうど風葬の場所へ入っていく細い農道脇。たしかに教えられなければ、もともと行く気もなかったのだし、素通りしていたはずだ。
 だが、そこまで親切にされると、もはや行かざるをえない。お愛想なんか言うもんじゃないね。
  畑の中の農道を通り、突き当りの山の中に風葬の墓域があった。散乱した人骨に合掌し、そうそうに引き上げる。興味本位で行くところじゃなかったと反省。
 死ねばそれまで。肉はすぐに落ち、残った骨も、やがては土にかえる。あとには何も残らない。死ねば、まことに、それまで、だ。

 行く気なんかさらさらなかったのだが、これもまた縁。いずれ、自分の死を真剣に考えるときがくるだろうが、無造作に散らばった人骨が文字どおり風雨にさらされていたあの光景は、思索の重要な柱になるような気がする。
 
 2時間歩いて「ゲストハウスあったかや」に到着。
 荷物をとき、シャワーをあびてさっぱりし、屋上に出てみたら、夕日が輝いていた。明日はようやく太陽が見られそうだ。
  ゲストハウスあったかや。素泊まり一泊3500円。朝食無料サービス。

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