ペースメーカーの憂鬱 【030】 PM手帳を読む 9 治療経過の記録 |
030 ♥ 2016.11.15 わたしのペースメーカーには付いていない機能の設定ページを抜かし、12・13ページに飛ぶ。ここはペースメーカー外来でチェックした電池やリードの情報、閾値などを記録するページだ。 ■治療経過 わたしの記録は、まだ3回分しか記入されていない。手術当日、退院前日、そして、手術2か月半後のペースメーカー外来日と、数は少ない。それでも、勉強のおかげで、数字の意味がわかるようになった。 1回分のデータは、見開きの横一列に記入されている。 それぞれの数値の見方の基本は、前回から変化があったものに注目し、原因をきちんと把握することだ。 わたしの場合、12ページでは、最初の項目である プログラムレート と マグネットレート は変化なし。特に気に ところで、ここに出てくる「マグネットレート」だが、これはうっかり見過ごしてきた項目だった。じつはこの数字、電池寿命に直結する重要なもの。 第024回の「PM手帳を読む3」で、ペースメーカーの「交換指標」として「バッテリー電圧が2.6V以下に低下」にチェックが入っていることを記した。 そのチェック欄に下記のような注書きがあるのを見逃していた。 「ペーシング・インターバルが100ms延長、マグネットレートが85min-1 以下に低下するなどの動作が見られる」 つまり、マグネットレートは、バッテリー交換の目安になる重要な数値だったのだ。今は「100」だけど、「85」まで下がったら要交換、ということ。 次の項目の電池は変化があり、電圧が 3.04V→3.01V へと下がっている。同時に、右横の抵抗の欄に >95% という数値が入っている。 前にも書いたように、電圧は「電池の消耗度」を意味する重要な数値だ。その低下具合は、6月30日に植込み、9月12日のチェック時までの75日間で、3.04-3.01=0.03Vの消耗。 わたしのペースメーカーの場合、電圧が2.6Vになったら交換する。そうすると残りは、3.01-2.6=0.41Vの余裕しかない。なんだか急に心細くなってくる。 単純計算だと、75日間で0.03Vの消耗だから、0・41Vを使いきるには、 0.41÷(0.03÷75)=1025日≒2.8年……かよ! 待て、待て。そんな単純な計算じゃないはずだ。担当者に聞いてみよう。 電池の寿命を考えるときは「バッテリーの特性」を考慮する必要がある、とのこと。 ペースメーカーに使われている「リチウム・ヨウ素電池」は、 ・使い始めは低下→数年以上ほんの少し低くなるなだらかな低下→寿命間際に再び低下 という特性があるらしい。 わたしの「3.04V→3.01V」という低下は、使い始め特有のもので、そのうちほとんど低下が見られない安定期になる。いくらなんでも2.8年ということはないので、安心してくださいということだ。 了解デス。 次の13ページでは、最初の 刺激閾値 の電圧が、チェックのたびに変わっている。 次の センシング閾値 と リード抵抗 も大きな違いはない。気にしないでおこう。 ただ、最後の ペーシング率 は大いに気になる。 植込み手術から75日目になる9月12日のチェック欄では、A:心房ペーシング率が 2・4% だ。少しだけペースメーカーに頼っている状況。 ところが、V:心室ペーシング率が驚異の >99% になっている。不等号が書いてあるので、心室は99%以上がペースメーカーによる拍動ということ。自己心拍はないと判断してもさしつかえない数値だ。 手術以降、毎日1回、脈を測り、今日も元気に頑張ってるな、俺の心臓――と思っていたが、じつは、ほぼすべてペースメーカーにやってもらっていたとは……。 どげんもならん、と言うべきか、いやいや、よくやってくれてありがとう、と感謝すべきか。複雑な気持ちだ。 というのも、手術前、わたしの心臓が、そんなに悪かったとは思えないからだ。たった2か月半前、心室が99パーセントも動いていなかったとは、どうにも合点がいかない。 たしかにめまいもあったし、最後は失神まで経験したから、重症なのは間違いない。でもなあ、運動時以外は普通に生活できていたのだから、60~70%ぐらいは自己心拍があったんじゃないのか? う~ん……。 こればかりはわからない。先生も、わたしの心臓は「切れかけの蛍光灯」と言っていたから、ペースメーカーを植込んだとたん、完全にプッツンしたのかも。 あ~あ、どげんもならんよ。 【030・治療経過の記録】 |
♥ 次記事「031・テニスの練習再開」へ ♥ Homeへ ♥ カテゴリ 一覧へ ♥ 記事 一覧へ |
♥ 訪問者 |