ペースメーカーの憂鬱 【029】 PM手帳を読む 8 オプション機能の設定 |
029 ♥ 2016.10.27 最初の設定項目は、次のようになっている。 ■スペシャル・プログラム これは、ペースメーカーの基本機能に追加するオプション機能の設定項目。 いささか疲れてきたので、ここは簡単に記すことに。 レート応答AVディレイ 心房のレート上昇に合わせ、前述した「ペース後/センス後AVディレイ」を短くするオプション。わたしはOFF。 PVCレスポンス 早期期外収縮に対する機能。このオプションは「A Pace on PVC」にチェックが入り、ONということだ。 ここでいう「PVC premature ventricular contraction」とは期外収縮のことで、このオプションを設定することで、ペースメーカー起因性頻拍の発生を抑える。 PMTレスポンス ペースメーカー起因性頻拍を予防する機能。「AUTO DETECT」にチェックが入っている。担当者の話では、予防というより頻拍が起きたときにすばやく止める役目をはたすという。 VIP 心室自己心拍優先機能。不必要な心室ペーシングを減らすように設計されたアルゴリズム。OFF。説明を聞いた限りではよく考えられている。ただ、それを書くと長くなるので詳細は割愛。いずれヒマなおりに。 心室セーフティスタンバイ 心室ブランキング後に設けてある期間で、この期間にイベントをセンシングすると安全ペーシングを行う。このオプションはONになっている。これまた説明がむずかしく、いずれヒマをみて。 マグネットレスポンス 植込まれたペースメーカーの上に磁石を当てたときのペースメーカーの反応。通常、非同期モードとなり、既定のレートとモードでのペーシングを行う。 バッテリーテストにチェック。このチェックで、ペースメーカー交換の目安になる値がわかる。定期的な外来でのチェック時に確認できるとのこと。次回の外来が5月なので、そのときに聞いてみよう。 ■レートレスポンス・プログラム ペースメーカーの生理的応答機能に関する設定項目。 最初の項目である「センサ」が、ONでもOFFでもなく、PASSIVE にチェックが入っている。PASSIVE=受動的ってなんだ? 「センサ=レート応答センサ。ONにすると、運動時にペーシングによる脈拍数が上昇する」とある。 なるほど、そういうことか。これはテニスをやりたいわたしには願ってもない機能だ。 ペースメーカーは、原則として決められた心拍数(レート)でしかペーシングしない。しかしそれだと、運動時に負荷がかかったとき、必要になる酸素などを、心拍をあげて増やし、全身に供給することができない(*1)。 そこでこの機能の出番。ペースメーカー本体に付いているセンサが体の揺れや呼吸を感知し、その運動強度に応じた心拍数になるよう、電気刺激を調整してくれるのだ。 ぜひ、ぜひ、お願い。わたしの最大心拍数は計算上152まで可能なのだ(*2)。 しかるに、なぜONではなくPASSIVEなの? 説明を聞いて納得。わたしの場合、ONにする必要がない。 なぜなら、原疾患が「2度房室ブロック」だからだ。 2度ということは、心房→心室への電気信号がときどきブロックされる不整脈であり、洞結節(心臓の発電所)から心房までは正常な電気信号(心拍)がきている。当然、運動負荷がかかれば脈拍は(自律的に)速くなる。 つまり、運動すれば、その強度に応じて速くなった(自律的な)心拍が心房までくる。それをセンシングし、心室で自己心拍がないと判断したら、すかさず心室をペーシング。この流れなら、レートレスポンス・プログラムに頼る必要がない。必要なのは、3度の完全房室ブロックの人、ということになる。 だから、機能はONにはしない。だけど、そうした状況だけは観察して記録しておきたい。それがPASSIVEという機能。まいった。至れり尽くせり、ほんとうのスグレモノだ。 ■MRIモード設定 MRI撮像検査を実施するときに使用する設定項目。通常、撮像前にMRIモードに設定する。 ということで、これは省略。 今のところMRIを撮る予定はない。必要になったときに勉強、ということで。 【029・オプション機能の設定】
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