青 爺 残日録 ペースメーカーの憂鬱 【026】
PM手帳を読む 5 レートなどの基本設定


026 2016.10.17

 手帳6ページ目のつづき。
 モードの次、2つ目の機能設定は、

   レート(50 )~(130)min-1 というものだ。

 SJM定義は、
 「ペーシングレート。ペースメーカーが調整する脈拍数。ペーシングによる最低脈拍数~最大脈拍数を記載」
 となっている。

 つまり、脈拍50から130の間であれば、あなたの自己心拍が感知できないときには、わたしが電気刺激を与え、心臓を動かしてあげますよ、と言っているのだ。

 いや~、大安心。よろしくお願いします。

 次の項目。

 ペース後AVディレイ(200 )ms   センス後AVディレイ(180 )ms

 メーカーの定義をそのまま書いておくと、
 「心房・心室順次ペーシングを行うための、心房と心室間のペーシングディレイ。心房ペーシング後、センシング後でそれぞれ設定」 となる。

 この説明だとわかりにくいけれど、前回(025回)で書いたように、心房収縮→心室収縮は、心房から心室に血液をスムーズに流すため、ほんの少し間をあける。つまり、ディレイ=Delay = (…を)遅らせる、わけだ。

 どのくらい遅らせるかという設定が、上記のように、ペース後は200ミリ秒(0.2秒)、センス後は180ミリ秒(0・18秒)というわけだ。
 これまでの“お勉強“でペースメーカーの仕組みがわかっていると、理解もだんだん早くなる。さて、次の項目。

  A出力(2.5/0.4)V/ms  Bi Uni
  V出力(2.5/0.4)V/ms  Bi Uni

 Aは心房ペーシング出力、Vは心室ペーシング出力。電圧とパルス幅で表す。

 すでに5ページ目の「ペーシング閾値」で説明した項目だ。
 ただ、そのときは、これ以上の電圧なら心臓が動く、という最低の数値=閾値だった。だから、心房は0.5V、心室は0.3Vになっていた。

 しかし、実際にペーシングするときは、刺激が足りずに心臓が動かないと大変なので、閾値よりかなり上げた数値にする。その出力数値が、心房:A=2.5V、心室:V=2.5Vに設定してある、というわけだ。

 それにしても、出力を5倍以上も上げる必要があるの? 2~3倍でいいんじゃない。だって、電池を消耗したくないもの。
 ま、そうもいかないみたいで、刺激出力2.5Vというのが一般的らしい。

 次の項目にいこう。

  A感度(1.0 )mV  Bi Uni-tip Uni-ring
  V感度(2.0 )mV  Bi Uni-tip Uni-ring

 これは、心房:Aと心室:Vをセンシングするとき、自己心拍の有無を判断する目安の設定。
 心房なら1.0mV、心室なら2.0mV以上をセンシングしたら、自己心拍があると判断する。
 感度とはその意味で使われている言葉なのだろう。
 当然のことだが、自己心拍があればペーシングは抑制される。その意味で、重要な数値といえる。

 つづきは次回。                                            【026・レートなどの基本設定】

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