青 爺 残日録 ペースメーカーの憂鬱 【025】
PM手帳を読む 4 DDDモードとは?


025 2016.10.13

 手帳の6ページ目は、ペースメーカーの詳細な機能設定が記入されている。

プログラム・パラメータ
 日付は2016年6月30日。植込み手術の当日だから、この設定が初期値になる。

 最初の設定は モード(DDDというものだ。
 メーカーの定義は、
 「ペーシングモード。ペースメーカの作動様式」
 となっている。なんのことやら、素人にはまったくわからない。しかたなくネット検索(*1・2)。その結果は次のとおり。

 わたしの設定は「DDD」とDが3つ並んでいる。この3文字それぞれが、次のような意味を持つ「国際ペースメーカーコード」だった。

・1文字目=ペーシング(刺激)する心臓の部位
 A=心房(Atrium)
 V=心室(Ventricle)
 D=心房と心室の両方(Dual)

・2文字目=センシング(感知)する心臓の部位
 A=心房(Atrium)
 V=心室(Ventricle)
 D=心房と心室の両方(Dual)
 
・3文字目=自己心拍への応答(作動モード)
 I=抑制(Inhibition)
 T=同期(Trigger)
 D=抑制と同期(Dual)

 ということで、わたしのペースメーカーは、
 「心房と心室それぞれを
  ペーシングする機能(D)と、
  センシングする機能(D)を持ち、
  自己心拍には抑制と同期の機能(D)を持つタイプ」
 というスグレモノだった。

 この定義の中で、「自己心拍には抑制と同期の機能を持つ」というのがわかりにくい。

 抑制というのは、自己心拍がある、と感知(センシング)したら、ペーシングしないということ。これは当然だ。心臓が自分で動いているのだから、ペーシングする必要はない。

 では同期とは? これは少しややこしい。

 心臓は、上の部屋の心房が収縮し、下の部屋の心室に血液を送る。心室は送られてきた血液が満杯になったら収縮し、血液を送りだす。
 この、心房の収縮→ちょっとだけ間をおいて→心室の収縮、という一連の流れがスムーズに行われないと、血液循環が乱れ、いろんな弊害が起こる。

 そこで、同期の機能が必要になる。
 心房の収縮→一定時間待っても心室が収縮しない→それを確認してから→心室に電気刺激を送る→心室収縮
 これが同期という機能だ(*3)。

 微妙な時間差で、心房収縮→心室収縮が起きるような刺激を送る。そのことで、血液はとどこおりなく全身を巡ることができる。ホントによくできている。

 モードDDDというたった3文字に、ペースメーカーの真髄がこめられている。たいしたものだと思う。

 (なお、国際コードには「O=感知機能なし(None)」もあるのだが、わたしのペースメーカーには使われていないので、詳細は割愛する)

 モードの探求だけで疲れた。つづきは次回。                            【026・DDDモードとは?】

♥ 参考データ
*1 http://www.hanakonote.com/kensa/pacemaker.html
*2 http://xiaomemo.hatenablog.com/entry/2015/01/18/005928
*3 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2125

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