006 ♥ 2016.07.03 電池の寿命がつきたら、本体ごと交換する――。 技術的にそれしかないと言われれば、これは考えてもしかたのないこと。技術の進歩に望みをつないで、お次はリードの寿命だ。
リードは、心臓に電気的刺激を与える重要な役割を担っている。 そのため、リードの先端は電極になっており、心臓の内壁にしっかり接触している必要がある。 しっかり接触している――というのがポイントで、実際には、接触というより内壁に食い込む感じ。 そこまでして密着していないと、送られてきた電気信号を伝えることができないわけだ。 わたしがもらったセント・ジュード・メディカル社の「しおり」にも、こんな説明が書かれている。
同じような仕組みが、リードの先っちょにも施してあるということ。 とはいえ、こいつがうまく引っかからないこともあるようだ。
わたしの手術を担当したY先生も、リードの位置がずれてしまった人の追加手術をした経験があるそうだ。
わたしも、手術直後は左腕を動かさないように、また、術後1か月は左腕を肩より上げないように、厳重に言い渡されている。 リードの離脱・移動というのは、医学的には「合併症」なんですな。 この合併症は非常にコワイ。
がんの宣告を受けたときも死の影がよぎった。まさかペースメーカーでもそうなるとは、予想だにしなかったよ。どげんもならん。 簡単な手術だから、1か月もあれば傷口は完全にふさがる。 そうなればテニス再開……なんて、あまりにも能天気。 ともあれ、リードの寿命だ。 「どのくらいなんですか?」と聞くと、先生は、 「一概には言えない。ペースメーカーの施術方式、使用者の使い方などにより、かなりのばらつきがあるからね」とおっしゃる。 設計耐用年数があるはずなので、それはどうですか、と聞いてみたが、よくわからないとのこと。ネットで少し調べてみたら「約15~20年」、あるいは「断線しない限り、一生涯使用」という記述があった。 ま、詳しいことはメーカーに聞くとして、電池に比べれば、リードはかなり長持ちする印象がある。 とはいえ、たとえば、Y先生が体験したケースでは、鉄棒にぶら下がったために断線し、追加手術をした患者もいたそうだ。 そんな話を聞くと、リードって鉄棒にぶら下がっただけで切れるほどモロいものなの、という疑問もわいてくる。 そんなこともないんじゃない? だって、内壁にくっついているということは、心臓の拍動に付随して、自分もクネクネ動くんだよ。しかも半端じゃない回数――。 一日24時間でどれぐらいクネクネするか。 仮に成人男子の平均的な脈拍を70回/分として 70回×60分×24時間=100,800回/日 一日に約10万回。心臓の拍動だから、リードはそれほど大きく屈曲するわけではない。でも、回数が回数だ。一日に10万回も曲がったり伸びたりすれば、けっこうくたびれるはず。それなのに10年、20年使えるんだから、基本、長持ち、それがリードだと思う。 だが、いくら長持ちするとはいえ、Y先生の発言で気になる点が2つある。 ひとつは、「ペースメーカーの施術方式」でリード寿命が左右される、ということ。施術方式って、いったいなんだ? 【006・リードは長寿命?】
|
|
♥ 次記事「007・リードの施術方式」へ ♥ Homeへ ♥ カテゴリ 一覧へ ♥ カテゴリ【ペースメーカーとは・02】の次記事【03】へ ♥ 記事 一覧へ |