007 2016.07.03

 リードを挿入する施術方式と言われてもよくわからないから、ハアハアと生返事をするだけ。Y先生の話を聞いた限りでのおおざっぱな理解では、次のようなことか。

 ペースメーカーは左胸に植込まれる。その本体からリードを心臓まで通す。通り道として、左鎖骨の近くにあるわりと太い静脈――左鎖骨下静脈が使われる。
▲ペースメーカー本体とリードの概念図。リードは左鎖骨下静脈から入り、心臓内部に達する(図はMindsより引用させていただきました *1)。

 この左鎖骨下静脈は、鎖骨と肋骨が交差する狭い部分を通って心臓へと向かっている。
 施術方式とは、鎖骨―肋骨・交差部分の手前でリードを入れるか、向こうで入れるかの違いらしい。

 手前で入れるのは、術式としては簡単、短時間で終わる。ペースメーカー手術の大部分はこの方式で行われる。

 ただ、この方式だと、リードが鎖骨―肋骨の狭い空間を通るので、腕や胸の動作で圧迫されたりこすれたりして、リードの被膜が劣化し、断線することもある。

 一方、交差部分の向こう側でリードを入れると、断線の危険性は少なくなる。最近ではこちらのやり方が増えてきたと先生は言う。

 わたしの場合はどうだったのか。残念ながら従来方式。理由のひとつに、わたしの鎖骨下静脈が平べったくなっており、手前からしかリードが入れられなかった、とのこと。

 え、血管が平ら? 丸くないの?
 どうやらそうらしい。そういえば手術のとき、先生が「平べったいから入っていかない」と言っていた。

 わたしの鎖骨下静脈が人より平べったくなっているので、リードの挿入がうまくできない、ということだったのだ。

 どげんもならん。断線の危険性がわかっていながら、それしか施術方法がないなんて。平べったい血管は、通すのがそんなにむずかしいの?

 さらに悪いのは、リードの寿命を左右する問題その2、先生が言うところの「植込んだ人の使い方」だ。


 前から書いているように、わたしはこれからもテニスをやっていくつもり。健康寿命のかなりの部分が、テニスに負っていると思うからだ。

 しかし、左腕をブンブン振り回すと、鎖骨のところでリードがこすれて消耗、普通より早く断線してしまう……。

 リードを長持ちさせる鉄則は、左腕を力いっぱい振り回すような激しい使い方をしないこと。静かでおだやかな余生を送るなら、一生涯もつと思う。

 だが、これまでのわたしは、テニスに明け暮れる毎日。しかも悲劇的なことに、わたしはフォアもバックも両手打ちなのだ。

 右利きのシングルハンドの場合、左手はそれほど使わない。ところがダブルハンドだと両手をフルに使う。これじゃあ、リードの痛み方は推して知るべし。嗚呼。

 手術後3日もたつと、傷の痛みはほとんどない。気力も少しずつ戻ってくる。峠の頂上を越えた感じで、あとは楽な下り坂。

 朝風呂に入り、体がさっぱりした今朝はそんな気分で、あげぽよだった。なのに今は沈殿丸。……憂鬱でたまらない。

 この体、何をやればおもしろく生きられるのだろう。
 どげんもならんなあ~。                       【007・リードの施術方式】

参考データ
*1 http://minds.jcqhc.or.jp/n/public_user_main.php
 上記URLをクリックしたら、左メニューから「心臓と血管→不整脈→詳細をみる→どんな治療法があるの?」と選んでいく。関連情報も詳しいので参考になるサイトです。

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