青 爺 残日録 ペースメーカーの憂鬱 【023】
PM手帳を読む 2 使用リードの詳細


023 2016.10.06

 手帳の4ページ目だ。

使用ペースメーカ
 植込まれた年月日・製造会社・本体機種名・モデル番号・シリアル番号(シール)が記載されている。

心房用リード
 植込年月日と製造会社名はいいとして、その下の行の意味がわからない。

 □単極(UNI)  双極(BI)

 この項目は、リードの電極が、
・単極(Unipolar)=ペースメーカー本体が+、リードが-の構造
 になっているものか、
・双極(Bipolar)=リードに+と-の電極がある構造
 かの違いを示す。

 わたしには「双極」にチェックが入っている。そこで、もう少し詳しく調べてみた。まず、リードに+(陽極)と-(陰極)があるとは、いったいどういうことなの?
▲単極リード(上)と双極リード(下)の概念図。上図の+と書かれているのがペースメーカー本体。下図の双極リードでは、拡大図のように+と-の電極が一本のリードに収まっている(実際には25mmほど離れて配置される)。*1

 これは、図にするとよくわかる。
 左図の単極リード(上)は、リード先端に-極がある。
 それに対し、双極リード(下)は、リード先端部に+と-の電極が隣りあって配置されている。
 それぞれ利点・欠点があり、詳しいことは参照サイト*1で。

 次の項目にいこう。

 □心筋(EP)  心内膜(END)

 これは、リードを留置する心臓の部位を示す。
・心筋(EP)は、リードを心臓の外側(心外膜)に留置する(縫いつける)方式を示す。
・心内膜(Endocardium)は、心房や心室などの心腔内にリードを留め置く方式。わたしのはそれだ。

 次の行は、リードのモデルナンバーとシリアルナンバーだ。シールが貼ってある。
 そして、心房用リードの最後の項目が次の1行だ。

 □Puncture  Cut Down  その他

 この項目は、リードの挿入術式を示している。
 ・Puncture=穿刺法。鎖骨下静脈を穿刺(針を刺す)し、そこからリードを挿入する術式。
 ・Cut Down=切開法。鎖骨下静脈の手前にある橈側皮静脈を露出、切開し、リードを挿入する術式。

 わたしの場合は「Puncture」にチェックが入っている。
 これはじつに残念なことで、「Puncture」は「Cut Down」に比べ、リードが切れやすいことが知られている。手術前にその情報を得ていれば、絶対に「Puncture」は選ばなかった。

 リードを長くもたせたいのはもちろんだが、わたしの場合、ペースメーカーを植込んでもテニスをやめるつもりはなかった。そうなると、テニスはけっこう激しい運動だから、リードが切れるのが一番の心配。「Cut Down」が切れにくいということなら、一も二もなくそちらを選ぶ。

 しかし、術前のインフォームドコンセントでは、2つの術式があり、どちらを選ぶかの選択肢は示されなかった。これについては、医師の責任を問うてもいいのではないか。今でもそう思っている。

 最終的な判断を患者にまかせる、というインフォームドコンセント方式は、100パーセントの情報開示がなされない限り、意味を持たない。単なる医療サイドの責任逃れとしか、わたしには思えない。

 この件は思いだすたびに悔しい。が、話が逸れるので、また別の機会に。

心室用リード
 内容は前述の心房用リードと同じ。
 チェックも心房用と同じく「双極(BI) 心内膜(END) Puncture」 に入っている。     【023・使用リードの詳細】

♥ 参考データ
*1 http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/physiol2/textbook/pacemaker/pdf/pacemaker1.pdf 

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