017 2016.09.15

 ペースメーカーが左胸に鎮座してから3か月半。少しずつ慣れてきたとはいえ、なんでこんなことになってしまったのか。
 老いの繰り言なれど、これが言わずにいらりょうか。

 そもそもの発端は「めまい」だった。
 週に1回通っているテニススクールでの練習中、突然、めまいに襲われた。

 尋常なめまいではない。
 頭がスーッと涼しくなり、目の前が白っぽいもやでおおわれる。
 体がフラ~ッと揺れ、力が抜ける。

 それでも2、3球は打ち返した。が、とても立っていられない。もうダメ。たまらずに休みをもらい、座りこんでしまった。

 めまいでへたりこむなど初めてのこと。それが昨年の11月。そして、12月にもう一度、強烈なめまいが起きた。

 これはてっきり酸欠だろう。なぜなら、わたしには、ボールを打つときに、息を止めるクセがある。ラリーが続くと、その間、ずっと息を止めて打ちあい、終わったあとはゼーゼーハアハア、息が切れて死ぬ思い、なんてことがよくあった。

 だから、酸欠の度が過ぎ、脳がうまく働かなくなってしまい、めまいが起きるのだろう、と考えたのだ。

 そんな悪いクセをなおそうと、コーチに相談し、まずは大きな声を出すことにした。
▲うるさ過ぎと言われるほどの大声を上げるシャラポア選手。 *1。
 女子プロテニスのシャラポア選手が、ボールを打つたびに奇声を発する。あれが、息を止めないコツらしい。

 実際、やってみると、ボールを打つ瞬間に発する気合の大喝とともに、息を吐きだすことができる。
 声は「ハアーッ」とか「エーイッ」「イヤーッ」と、なんでもいいのだ。とにかく大きな声を出しさえすれば、息も同時に出ていく。

 吸うのは意識する必要はない。苦しくなれば、体が勝手に吸ってくれるから。
 とにかく、テニスは気合だ~~。

 年が明け、1月、2月と、めまい発作は起こらなかった。
 一件落着と安心した3月、またもやめまい襲来。4月は一度も起きなくてホッとしたものの、5月になると2回、6月は立て続けに4回、めまいの大襲来だ。

 そして、ついには、めまい直後に「失神」まで引き起こしてしまう。

 じつを言うと、失神する少し前、単なる酸欠にしてはどうにもおかしいと思い、T病院の「めまい外来」を受診していた。

 ここでは、まず、耳の異常を診た。
 耳は、音を聞くほかに、体のバランスを保つ役割も担っている。めまいは体のバランスの崩れでもあり、耳の異常から起こることが多い。
 だが、診察と検査の結果、わたしの耳に異常はなかった。

 そこで次に、脳に異常がないか、MRIで調べることになった。検査をしたのは6月15日。そして翌16日、人生初の「めまい→失神」とあいなったのだ。

 この失神のとき、MRIの結果はまだ出ていなかった。だから、失神が脳の異常かどうかは、わからない。

 MRI検査の結果が出たのは、失神してから5日後の21日。異常なしだった。
 耳・脳と異常がなければ、次は心臓ということで、23日の検査予約をした。

 心臓検査の予約をし、病院から帰ったその夕方、運動は厳禁だったが、車庫の壁にテニスボールを打ちつけて遊んでいると、クラクラッとめまいが起きた。軽いものだとすぐにわかる。それぐらい、めまいにはなじんでしまっていた。

 めまいがきたら、ただちに座ってやりすごすことも学んだ。あとで詳しく記すが、めまいから失神までアッという間。それは経験したから身にしみてわかる。

 もし、ドシンと倒れて頭をモロに打ちつけでもしたら、一巻の終わりということもある。だから、めまい即しゃがむ。これが命を守る鉄則だ。

 そうやって座りこみ、車庫の壁に背をあずけ、めまいをやり過ごしているとき、ふと、脈を測ってみようと思いついた。それまで考えてみたこともなかったのだが、心臓の検査を予約したことで、急に関心がわいてきたのだ。

 手首に親指を当て(あとで知ったことだがこれは不正確な測り方)、ドクンドクンと打つ脈を数えていると、ドクンと打ったあと、しばらくとだえてしまうことに気づいた。

 ドクン、ドクン、…… ……、ドクン、…… …… ……、ドクン、ドクン

 というような感じで、心臓がときどき止まる。脈の数も異常に少ないようだが?
▲親指だけで測ると不正確になるので×
 さらに指先に集中すると「ドッ、トクン」、あるいは「ト、トン」と、乱れも感じる。脈が飛んだり、か細くなったり……これが不整脈か!

 マズイ、マズイ、心臓がおかしくなった! このまま脈がとぎれ、血液が脳に行かなくなると大変だ。

 とにかく今は、頭(脳)を下げて心臓と同じ高さにし、逆に両脚は高くして、血液の循環を確保しなけれ
▲指3本で測るのが。練習すればすぐにできる。
ば。

 あわてて車庫に続く階段下の床に寝転び、階段に両脚を乗せて高くし、血液が巡りやすい体勢を整えてから、脈を測りつづける。
 なんだか、気分が悪くなってきた。呼吸も苦しい感じがする。何かがおかしい。不安が広がる……。

 コンクリートの床が冷たく、いつまでも寝ているわけにはいかない。しばらく休んで家に入り、血圧計で測ると「上164、下75、脈46」だ。

 脈拍がたったの46? いつもは60を超えている。なんでこんなに低いの? 心臓が弱っている!

 この異常事態は夜半まで続いた。血圧は変動するが、脈は40台の低いままで上がっていかない。

 救急車を呼ぶか。でも、気分は落ちついてきている。吐き気とか頭痛、胸や心臓の痛みなどは感じない。脈が異常に低いのと、ときどき乱れるだけで、あとは救急車を呼ぶほどの状態ではない。

 念のため血圧と脈を記録する。
 18:30 164 75 46
 18:42 155 71 46
 19:00 175 79 46
 19:14 151 75 46
 20:25 167 75 44
 21:45 147 64 42

 だんだん面倒になり、血圧は異常がないので、脈だけ測る。深夜3時ごろまで測っていたが、40台の数値は変わらない。低いなりに安定している。乱れはあるものの、脈がずーっと止まる(心臓が止まってしまう)心配はなさそうだ。

 少々疲れたし、寝てもいいだろうか。……うん、いいだろう。

 翌朝、目が覚めてみると脈は戻っていた。
 07:35 127 61 64 (ただし、1分間に2回ぐらいの頻度で脈が飛ぶ)
 08:43 156 83 61 (不整脈あり)
 09:24 168 92 65 (不整脈あり)

 こうなったら、予約した心臓の検査日まで待ってはいられない。病院が開くと同時に電話し、救急外来に話をつけて受診。そのまま検査入院となった事情は、前に記したとおりである。                           【017・めまい大襲来!】

*1 https://www.youtube.com/watch?v=A9jwSBTaEEA

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