011 2016.07.13

 今日は市役所で身体障害者手帳の申請。まさかこんなものをもらえるなんて、思ってもみなかった。

 というか、ペースメーカーを植込むだけで、これほどおおげさなことになるとは、ただただびっくり。だってこのわたしが、身体障害者だよ!
 ま、少し冷静になり、その定義をじっくり考えれば、ウムとうなづくほかなし、だな。

 いわく「身体障害(しんたいしょうがい)とは、先天的あるいは後天的な理由で、身体機能の一部に障害を生じている状態、あるいはそのような障害自体のこと」であるし、また「障害(しょうがい)とは、ものごとの達成や進行のさまたげとなること、また、さまたげとなるもののことである」(いずれもWikipediaの解説より引用 *1)。

 実際、ペースメーカーを植込む前のわたしは、テニスの練習中に目まいに襲われるわ、ジョギングをしていると、突然、目の前が真っ白になり、気がついたら道路にあお向けに寝ているわで、身体機能がおそろしいほどにさまたげられていた。

 だから、その時点で、わたしは間違いなく身体障害者だった。にもかかわらず(公的には)身体障害者とはみなされていなかったし、自分もそう思ったことはない。もちろん病気かな、とは思ったが。

 その後、わたしはペースメーカーを植込んだ。そしたら、悩まされていた障害がなくなった。そして、障害がなくなってから、わたしは公的に身体障害者と認定された。しかも、級(最高度の重度障害)だ。

 なんともはや、ヘンな気分である。障害がなくなったのに、最高度の重度障害者に認定されたのだから。

 ま、それは、とりあえずおいておこう。
 で、手帳の申請に行ったら、各種の福祉サービスを受けられることがわかった。
▲後日、交付された身体障害者手帳。表のデザインは各自治体にまかされているそうだ。だから全国同じ体裁ではないと言っていた。
その申請も一気にすませたが、その内容には驚いた。

*JR等運賃割引き
*都営交通無料乗車券
*民営バス料金割引き
*有料道路割引
*福祉タクシー券又はガソリン券
*NHK料金減免
*自動車税減免
*所得税等の減免
*後期高齢者医療費制度の条件外適用

 次から次へ、いろんな申請書類が出てくる。よくもこれだけあるものだ。読んでるヒマもないし、無料とか割引、減免という文字だけを目に入れ、黙って署名をする。

 こんなに多くのサービスが受けられるなんてすごいもんだ。でも、感心している場合じゃない。実は、福祉サービスにはまだまだ続きがある。

*航空運賃割引き
*公共施設料金割引(博物館や美術館、動物園、水族館、スポーツセンターなど)
*公営住宅入居優遇
*映画館入場料割引
*各種レジャー施設での優遇(ディズニーランドやUSJ他)
*携帯電話料金割引
*医療費助成
*福祉用品助成

 自分が住んでいる自治体、障害の程度、所得など、条件の違いがあるものの、多種多様の福祉サービスが用意されている。いやはや、ビックリ仰天とは、このこ
▲都営交通は利用するけど、タクシーはまず使わないなあ。これ以外にもまだまだあるのだが、それにしてもサービスしすぎ?
とだ。

 ただし、これらはすべて自分で申請する必要があり、知らずにいれば宝の持ち腐れ。わたしも市役所の窓口に来るまで、こんなに多くのサービスがあるなんてまったく知らなかった。

 困ったことに、医師のなかには、「法律が改正され、ペースメーカーは障害者手帳交付の対象にならなくなった」など、誤った情報を口にする人もいる。

 わたしが救急外来で受診したS先生がそうだった。循環器内科の先生だから、ペースメーカーは専門分野。その先生が言うことだし、また、わたしもあまり関心がなかったので、そうなんですか、と聞き流していた。

 ところが、カミさんが保健師をやっており、そんなことはないはず、と言う。でも、専門(プロ)の先生が言うんだし、と取り合わなかったら、手術後、当の病院から渡された冊子(術後の注意事項)にこう書いてあった。
 ペースメーカーを植え込まれた患者さんは、身体障害者福祉法により、身体障害者の申請を受けることができます。市役所の福祉課で申請書を受け取って、事務職員にお持ちください。
 病院事務の職員さんに聞いてみたら、病院で必要事項を書き込んだ申請書を市役所に提出すれば、身体障害者手帳が交付されるという。S先生の話はいったいなんだったんだ?

 あとで調べてみたら、たしかに今年の4月に法律が改正されていた(*2)。
 ポイントは、これまでペースメーカー植込み者は「一律に級に認定」されていたのだが、障害の程度により「級、3級、4級のいずれかに認定」されるように改正されたこと。

 だから、障害者手帳が交付されないわけではない。申請すれば、等級の違いはあれ、手帳はちゃんともらえるのだ。

 こんな大事なことを、患者に間違って伝える医者がいるなんて、嗚呼、この世も終わりじゃ、どげんもならん。

 それはさておき、ネットでこの件を調べていたら、以前から、ペースメーカー装着者が「等級級なのはおかしい」という声があったらしい(*3・*4)。4月からの改正は、そういう批判に応えたもののようだ。

 この話題は、わたしの「ヘンな気分」とも相通じるものがあるのだが、それはまたの機会に。今日はとにかくオドロイのなんのという話だ。    【011・身体障害者手帳】

*1 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%9A%9C%E5%AE%B3
*2 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/topics/kijyunminaoshi.files/seidokaiseileaf.pdf
*3 http://icd.yw-information.com/syougai6.html
*4 第百八十回国会・参議院予算委員会会議録第十八号の「六ページ2段目」に、民主党・櫻井充議員のペースメーカーに関する発言が記録されている。
*4 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/180/0014/18004040014018.pdf

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