青 爺 残日録 脳梗塞よれよれ日記【002】
梗塞とは細胞壊死のこと
◆2017年03月10日(金) 発症2日目
 6時起床。
 朝、長女くる。今日は休みをとったと言う。
 午前、昨夜からの点滴続く。
 何を体に入れているか説明なし。聞く気力もなく、なすがまま。脳梗塞から連想するに血液サラサラ系の薬だろう。

 昨夜の異変はどこへやら、体の不調はまったく感じられない。ただ、気持ちはどんより。眠れなかったこともあるが、それ以上に、落ち込んだ気分が辛い。

 心臓ペースメーカーを植込んでまだ9か月。それなのに今度は脳梗塞だ。振り返れば、還暦の歳には食道がんの宣告を受け、死ぬかと思った。

 がん、心臓病、脳疾患。日本人男性の死因ベスト1・2・4のそろい踏みだ。ベスト3は肺炎だけど、そいつには2度もかかっている。
 こんなことは、自慢にもなんにもなりゃあしない。鬱々とふさぎこむばかりである。

 ベッド上安静なので、歩きまわるわけにもいかず、気をとり直し、長女が持ってきてくれた脳梗塞の資料データを読む。

 まず「梗塞」とは。

 「終動脈、終静脈が閉塞し、血管の支配領域で虚血が起こり、血液が流れにくくなって、酸素や栄養が十分に行き届かず、酸欠に陥った部分の細胞組織が壊死する限局性壊死の状態(多くは凝固壊死)。一般的に静脈より動脈が虚血性壊死を起こしやすい」

 と Wikipedia にある。

 つまり梗塞は、血管閉塞➜虚血➜細胞壊死の状態、とじつにわかりやすい解説だ。
 わたしのような素人は、病名だけでわかったつもりになりがちだが、段階を追って詳しく説明されて、初めて病気の本当の姿がくっきり浮かび上がってくる。


 脳梗塞という3文字も、じつに奥が深いなあと思いつつノートパソコンの文字を追っていると、お昼近く、脳神経内科担当のF先生来室。初めての説明だ。要点を記す。

1)MRI検査は登録から始めるので2、3週間後になる。

2)CTで2週間に3、4回の撮影を行い、症状を比較する。

3)脳梗塞の治療薬は、心臓原性かアテローム原性かによって大きく違う。なので、どちらなのか確定してからでないと治療にすすめない。

4)心臓性なら、血液の凝固を溶かすワーファリン系の薬を使う。

5)アテローム性なら血小板を凝固しにくくするアスピリン系の薬。

6)確定検査は、頸動脈の詰まり検査・心臓内の血栓検査を行う。判断が微妙な場合は、胃からの超音波検査をするかもしれない。

7)必要な検査は3月24日ぐらいまでかかる。

8)アタック(手足のマヒ、脱力、ろれつが回らない=顔面マヒ)があったのは事実。今回はなんらかの要因で血栓が流され、梗塞が少なかったとしても、再発の可能性は大。したがって、薬は飲んだほうがいい。医師としては服用を勧める。薬は生涯飲み続けることになる。

9)ペースメーカーは、心臓内の血栓を防ぐ(減少させる)効果がある。とくに房室性細動がある人には有効。

 以上のような説明があり、なんということ、即日解放なんか夢のまた夢。うまくいっても3月24日か25日ごろの退院。まだ2週間も先の話だ。

 MRI検査が2、3週間後というのが痛い。
 原因はわたしの使っているペースメーカーだ。もちろん、ペースメーカー自体はMRI対応のものなので問題なく撮影できる。
 ただ、救急車で運ばれたK病院と、わたしのペースメーカーのセント・ジュード・メディカル社との間に取引きがないため、手続きに時間がかかるようなのだ。

 数年前、ペースメーカー使用者のMRI検査は禁忌だった。しかし、2012年ごろからMRI対応の新ペースメーカーが販売されるようになり、わたしがT病院で植込んだのもそれだ。

 だったら、ペースメーカー手術を受けたT病院ならすぐにMRI検査ができるので、検査を受け、画像データをもらってくるのはどうでしょう。医療提携はできませんか、とたずねた。

 F先生の答えはNO。

 こうなれば、即日解放はあきらめるしかない。長女に頼み2週間の検査入院に必要なものをとりにいってもらう。
 あとにして思えば、このMRI検査をもっとしっかり交渉すべきだった。いろんな意味で後悔することになるのだが、そんなことは露知らぬわたしでありました。

 午後6時、夕食。
 見るからに少ない量のご飯を食べていると、急に気持ちが悪くなる。フワッとした浮遊感を感じ、それ以上食べると悪心に襲われそう。食べるのをやめた。

 虚血発作のめまいかもしれず看護師には伝えたが、まいったなあ。検査入院が決まり、原因解明に本腰をと思った矢先にこれだ。どこまで続くぬかるみぞ。

 夕方から、トイレまでなら歩きOKになった。
 点滴スタンドを引っ張っていくのは面倒だが、歩けることは嬉しい。

 夜は、消灯9時まで読書。椎名誠の『ぼくは眠れない』と、カルベナリア吉田の『ひたすら歩いた沖縄みちばた紀行』の2冊を交互に読む。

 『沖縄』は文章が硬すぎておもしろくない。あきたら、『眠れない』のおもしろ体験を読む。残念なことに眠れる秘訣は書いてなかった(睡眠薬しかなさそう)。

 消灯の9時以降、どうやって眠れぬ夜を過ごそうか。 【002・梗塞とは細胞壊死のこと 了】

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Contents
【001】アッ!ろれつが回らない
【002】
梗塞とは細胞壊死のこと
【003】アテローム血栓性脳梗塞
【004】ラクナ梗塞は15mm以下
【005】心原性脳塞栓症はコワイ
【006】MRIは検査なしになった
【007】脳梗塞の黒幕は動脈硬化
【008】退院できない眠れぬ夜は
【009】アテローム血栓が原因?
【010】医者の怒声が響いた面談
【011】心臓までおかしくなった?
【012】助けて! 深夜の心臓異変
【013】入院生活ともオサラバなり
【014】MRI撮影は認定病院のみ
【015】ペースメーカーは異常なし
【016】MRIで脳梗塞が見つかった
【017】頻脈の大波小波に翻弄!
【018】ラクナ梗塞という十字架
【019】


サイト運営の青爺より
68歳でペースメーカーを
植込んだ隠居じ~さんが、
69歳で脳梗塞の発作で倒れ、
どげんもなら~んと大パニック。
救急車で運ばれた先では
なんとも不可解な治療を受け、
良くなったのか悪くなったのか。
ホントにどげんもなら~ん!









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【004】ラクナ梗塞は15mm以下
【007】脳梗塞の黒幕は動脈硬化
【010】医者の怒声が響いた面談
【013】入院生活ともオサラバなり
【016】MRIで脳梗塞が見つかった

【002】梗塞とは細胞壊死のこと
【005】心原性脳塞栓症はコワイ
【008】退院できない眠れぬ夜は
【011】心臓までおかしくなった?
【014】MRI撮影は認定病院のみ
【017】頻脈の大波小波に翻弄!
【003】アテローム血栓性脳梗塞
【006】MRIは検査なしになった
【009】アテローム血栓が原因?
【012】助けて! 深夜の心臓異変
【015】ペースメーカーは異常なし
【018】ラクナ梗塞という十字架